サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
森保監督が見せた勝負師の顔に感服。
大胆ターンオーバーの巨大な効果。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2019/01/18 11:20
森保一監督が大胆なターンオーバーを敢行したのは、優勝までの試合数を睨んでいるからに違いない。
理に適った割り切り方。
0対1のままでロッカールームへ戻っていたら、後半の試合展開は違っていたかもしれない。しかし、日本は前半のうちにスコアをタイに戻した。
43分、右サイドバックの室屋成が敵陣深くまで切り込み、中央へふんわりとしたクロスを供給する。今大会初先発で1トップに入った武藤嘉紀が、代表では'15年10月以来となるゴールをヘディングで突き刺した。
後半は伊東純也のドリブルが攻撃の活路となる。シンプルでもタテに速いアタックは相手守備陣の脅威となり、武藤や北川らが絡んでフィニッシュへ持ち込んでいく。前半終了間際に同点としていたことで固さがほぐれ、後半開始からアグレッシブにゲームを進めることができたと言える。ショートパスによる崩しにこだわらない割り切りも、理に適ったものだった。
58分の決勝弾は、塩谷司の左足ミドルだった。相手のクリアをペナルティエリア外から豪快に突き刺す。本来のセンターバックでも右サイドバックでもなくボランチで起用された30歳が、サンフレッチェ広島在籍時に師事した指揮官の期待に応えた。
過去2試合を含めて効果的なミドルシュートが少なかった意味では、今後の戦いぶりに好影響をもたらす一撃でもある。
メリハリが効いていた後半。
後半のゲーム運びは危なげなかった。指揮官エクトル・クーペルが必死に指示を送る相手の攻撃を跳ね返しつつ、マイボールの局面ではゆっくりとボールを保持する時間帯も作った。メリハリが効いていたのである。
残り時間が10分を切ると、森保監督は運動量の落ちた乾貴士を下げて原口元気を、武藤に代わって遠藤航を送り込む。このままゲームを終わらせる、とのメッセージだ。アディショナルタイムには北川を下げて冨安健洋も起用し、2-1の逃走劇を締めくくった。
韓国、カタールと並んで3連勝を飾った日本は、決勝トーナメント1回戦でグループE2位のサウジアラビアと対戦することになった。