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トルシエ、トルクメニスタン戦を語る
「日本の勝利というより相手の負け試合」 

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byAP/AFLO

posted2019/01/11 12:20

トルシエ、トルクメニスタン戦を語る「日本の勝利というより相手の負け試合」<Number Web> photograph by AP/AFLO

大会初戦の難しい試合、難しい流れを、ハーフタイムの指示で一変させた森保一監督。

トルクメニスタンの守備は酷かった。

――その通りですが、2000年の日本代表は攻撃に関しては完成されていましたし、チームもほぼ出来あがっていました。森保監督のこのチームは立ち上げてまだ間もなく、それでも後半良くなったのは……。

「後半良くなったのは、監督が選手を覚醒させたからだ。

 どうプレーすべきかを的確に指示し、選手の精神状態を変貌させた。プレー自体を変えて、よりスピーディーによりアグレッシブになった。ロングボールも多用した。相手はより守備に専念せざるを得なかったが、それは彼らが得意とするところではなかった。

 日本の1点目も2点目も、トルクメニスタンの守備は適切ではなかった。日本にとって得点は難しくなかったはずだ。3点目まで含めて、相手の守備の弱さ・集中力の欠如が生んだ得点だったといえる。

 日本が良かったわけではない。

 トルクメニスタンの守備が酷かったというに過ぎない。

 ディシプリンを欠いていた。その理由は、トルクメニスタンは守備のチームではなく、ボールを保持したときに強さを発揮するチームであるからだ。守備に関しては見るべきものは何もない。私に言わせれば日本が勝ったというよりも、トルクメニスタンが負けた試合だった」

日本の守備は大きく崩れなかった。

――大迫が2得点しましたが、彼をどう評価しますか。

「良かったと思う。戦いでも空中戦でも彼は存在感を示した。日本はブロックへの侵入に苦慮し、クロスも効果的ではなかった。普段のようにはプレーできなかった。

 そうした中で彼は際立っていた。常に危険であり続け、ゴールもふたつ決めた。日本にとってはほぼ唯一の武器であるといえた。

 スペースを消されたうえに厳しいマークを受けながら、彼は自分の役割を果たした。もちろん最高のパフォーマンスとはいえないが、決して悪くはなかった。特に得点の場面では、力を存分に示したといえる」

――日本は次の試合以降、さらに進化していくと思いますか?

「もちろんだ。これから対戦相手も強くなっていく。力関係も変わるし、経験も必要になる。

 今日の試合で日本の守備は大きく崩れなかった。2失点は喫したが、GKもふたついいセーブをした。彼の見せ場はそれだけだった。ただ後方に退いて攻撃してこないチームを崩すのは難しい。次の相手はどこだ?」

――オマーンです。

【次ページ】 初戦での判断は早すぎる。

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