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大谷翔平へ栗山監督からのエール。
「僕の想像をさらに越えてくれ」 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

photograph byNanae Suzuki

posted2019/01/14 09:00

大谷翔平へ栗山監督からのエール。「僕の想像をさらに越えてくれ」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷翔平のメジャー1年目を語ってくれた栗山監督。愛弟子の活躍に目を細めていた。

二刀流に正解はないからこそ。

 起用法についてはすべての試合を観られたわけじゃないけど、(エンゼルスが)何とかしようとしてくれている感じはすごくあったと思うし、こういう選手を使うのは初めてなんだから、難しいに決まってるよね。

 二刀流というのは一流のバッターになれる才能と一流のピッチャーになれる才能が揃ってるだけではダメで、それを何倍も越えるだけの才能が両方ともにあって、初めて実行に移せる。しかも2つを連動させるためには、翔平のように野球をやるのが何よりも楽しくて、他の何を捨てても野球に懸ける想いがある、ということが大事になってくるんだ。

 だからこそ僕は去年、翔平に言った。「向こうでは、どうだ、行けるかって訊かれるからね、どういうときに自分が行けるのかをわかるようになっておかないとダメだから」って。翔平は絶対に「行きますよ、もっと行かせてくれ」って言いたいに決まってるし、普通、1年目は「行けません」なんて言えないからね。

 じゃあ、休ませようかという話になったとしても、たとえばスタメンから外して今日は代打という日を作れば、その準備は楽だって思われるかもしれない。でも、翔平の準備の仕方はそういうものじゃないんだよ。

 身体に負荷をかけてるし、その分、どこかの筋肉が疲れていても、本人は若いから気づかないということもある。そういう状況を判断するのは難しかったし、正解のない話でしょ。このオフ、翔平には、本当はあそこは行っちゃダメだったんだとか、あのくらいの疲れがあったらもう少し打席も減らさなきゃいけなかったとか、そういう整理だけはしてほしいと思う。

もしトラウトがいなくなったら。

 それでも、同じシーズンで投げたり打ったりするというのは理想でしょ。今年のエンゼルスだったら、翔平が中4日で投げたほうが優勝しやすかっただろうし、もしトラウトがいなくなったら、その時点で打つほうへシフトしたほうが勝ちやすくなるのかもしれない。

 2年前は翔平がバッターでいってくれたほうが勝ちやすいと僕が判断したから、いろんな理由をつけて、後半はバッターでいってもらった。チームを勝たせることが翔平の使命だとすれば、両方やっているほうがいいに決まってるんだ。

 僕だって、翔平がバッターで1年間やったらどんな数字を残すのか、ピッチャーだけならどのくらい勝つのか、見てみたいよ。でも今回にしたって、トミー・ジョン手術を受けたのに、来年、試合に出られるなんて二刀流の真骨頂じゃない? やっぱり翔平に二刀流は必須だったんだって思うよね。

【次ページ】 大事な時に見せる“無反応”。

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