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メジャーで増える救援投手の先発、
オープナーは育成失敗のごまかし?
posted2019/01/14 11:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
「オープナー」
昨季、突如として聞かれるようになったこの野球用語はあっという間に関係者、ファンの間で認知されるようになった。
先発投手に救援専門の投手を起用し、1、2、3番から始まる相手上位打線と対峙させる。そして、2回からは先発予定だった投手へと継投し、ある程度長い回を投げることを期待する。この「オープナー」制度はチームを勝利に導くために多くのメリットがあるとされることになった。
先取点は試合を優位に進めるあたり、その後の戦略に大きな影響を与えるが、先発専門の投手にとって最も不得意であるのが立ち上がりだ。100球で7回を投げ切ることが理想とされる先発投手は、どうしても自分のその日の状態を探りながら初回のマウンドを迎える。そのためか、先発投手の失点率が高いのは概ね1回となる。
だが、救援専門投手を1回に起用すればその失点の確率はかなり低くなる。救援投手はその特質上、登板時から出力は全開だ。最も厄介な相手上位打線を全力投球で封じ込め襷を本来の先発投手に渡す。立ち上がりの失点を防ぐ観点からすれば筋の通った話と言える。
「オープナー」は常に継投ありき。
試合の攻防に於いて、次に大きなポイントとなるのが6回、7回あたりに訪れる元来の先発投手からの継投時期になる。先発投手と相手打線の攻防は3巡目を迎え、打者は投手の球筋に慣れ、その日の配球もインプットされる。
その上に投手の投球数は100球に近づき体力も尽きてくる。打者有利の状況が生まれ、得点圏に走者を許した状況での継投が生まれがちになる。結果、失点に繋がる。ここが「オープナー」採用のもう一つの理由だ。
「オープナー」が先発することで元来の先発である2人目の投手には敢えて3巡目の攻防を託さずともイニングは進んでいく。例えば、残り2人の投手が完全投球をすれば試合は7回を終える計算になる。相手打者は常に新しい投手との対戦を強いられ、これが失点を未然に防ぐことに繋がると考えられた。
「オープナー」は常に継投ありき。ピンチを招き交代でなく、早めの継投を展開することで、投手は比較的楽な場面で存分に腕を振ることが可能となる。これらのメリットと考えられている。