プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人・小林誠司が生き残るために、
打撃だけではない重要な課題とは。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/01/04 10:30
盗塁阻止率は2018年も.341で3年連続リーグトップを誇るが、打率はここ4年で一度も2割3分を超えていない。
「小林のリードは誰でも同じ」
だが、である。
これがまだまだ経験不足の投手の場合には、話が変わってくる。
「小林のリードはどの投手でも同じ。菅野が投げているときと同じようなリードで、力も違う若くて経験のない投手が抑えられるわけがない」
ある球団関係者から聞いた話だ。
小林のリードには全ての球種を満遍なく使いたがる傾向があるという。もちろんどのボールにも打者を抑えこめるクオリティーのある菅野のような投手にとっては、長いイニングを抑え込むためのバリエーションとしてそういう偏らないリードが有効になるかもしれない。
だが、若くて経験のない投手はとにかくワンパターンでもいいから自分の自信のあるボールに頼りたい。もちろん小林もその投手の決め球を生かすリードを考えているはずだ。ただその過程で打たれるケースが多く、若い投手の間では小林とのコンビを不安がる声があるのだという。
その投手との埋めきれない呼吸の違いが、小林の課題という声を聞くのだ。
腰を使い、ミットが動く癖。
「小林、大城、宇佐見と、キャッチャーはいっぱいいますが、日本一を狙うには少し時期尚早。若いキャッチャーたちの大きな刺激になって欲しい」
原監督のこの炭谷に対する評価には、ベテラン捕手としての幅の広さへの期待が込められているのである。
以前にもこのコラムで書いたが、小林は審判の判定に“腰を使う”癖がある。また捕球の際にミットが動くなど欺瞞的な動作でも、アンパイアからは“要注意捕手”とマークされている。
その一方で炭谷には谷繁元信元中日監督が「日本一」と太鼓判を押すキャッチング技術があり、日本シリーズでMVPを獲得したソフトバンク・甲斐拓也捕手もお手本にする絶妙なフットワークもある。
そういう捕手としての本質的な素養が炭谷獲得の背景にはあるわけだ。