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巨人ファンから愛された内海哲也。
みんなで作り上げたつなぎのエース。
posted2018/12/21 17:00
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph by
Nanae Suzuki
プロテクトリストは「未来」や「過去」ではなく、徹底的に「今」を守るものだ。
なぜなら、FA補強は「今」の戦いに勝つためにするわけだから。人的補償での移籍選手を見ていると毎年そう実感する。
20日、早朝にようやく原稿を書き終え寝たら、昼過ぎにLINEの大量着信で叩き起こされた。
巨人がFA獲得した炭谷銀仁朗の人的補償で、内海哲也が西武へ移籍することが発表されたという。寝ぼけた頭でパソコンを立ち上げ、各スポーツ新聞の記事や球団公式アカウントからの内海のメッセージ動画を追っている内に、徐々にこれが現実だと理解する。
西武は即戦力を求める傾向。
これまでにも巨人から西武への人的補償は、基本的に「即戦力」を求める傾向があった。将来的な若手の人材は自前で育てられる。だから、割り切って目の前に迫った来季の足りないピースを埋めにいく。
過去に人的補償では脇谷亮太、高木勇人、江藤智らが移籍。金銭トレードだが、地元・浦和学院出身の清水隆行も36歳になるシーズンに西武へ。となると、現在35歳で今季二軍ローテで9勝を挙げた浦学OBの大竹寛は……と注目していたら、同じくベテランの36歳・内海が選ばれたわけだ。
で、しばらくして冷静になった頭で思った。当然、過去のケースから西武側のこの傾向は分かっていただろうし、左腕エース菊池雄星のポスティングでのメジャー移籍が確実視されている。
恐らく、そのコメントとは裏腹に巨人サイドも内海の流出を覚悟していたんじゃないかと。
数年前まで巨人のエースを張り、通算133勝サウスポーも17年は2勝に終わり、今季も15試合(82回)に投げて5勝5敗、防御率4.17。9月14日のDeNA戦で5回4失点で敗戦投手になって以来、CS進出の懸かったペナント終盤は登板がなかった。