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巨人ファンから愛された内海哲也。
みんなで作り上げたつなぎのエース。 

text by

中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byNanae Suzuki

posted2018/12/21 17:00

巨人ファンから愛された内海哲也。みんなで作り上げたつなぎのエース。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

2013年日本シリーズ第1戦、ヒーローインタビューに臨んだ際の内海哲也。その姿はまさに巨人のエースだった。

愉快な普通の兄ちゃん。

 若手時代の奪三振と与四球がやたらと多い荒削りな姿から徐々にモデルチェンジし、時に原監督から「ニセ侍」とディスられながらも、'11年、'12年シーズンと2年連続最多勝のタイトルを獲得したが、開幕投手経験は過去3回と、上原の7回や菅野の4回と比較すると意外に少ない。

 巨人歴代エース伝統の右の本格派ではなく、左の技巧派として活躍。そのプレースタイルもキャラクターも異色の存在だ。一昔前と違って巨人戦地上波中継が激減している今、たまたま見た日本テレビ系列番組の『ズムサタ』プロ野球熱ケツ情報で、巨人の選手に興味を持った人も多いと思う。

 以前、自分が勤めていた会社の後輩女性は野球をほとんど知らなかったが、「あの面白い人ですよね」なんて内海の存在は認識していた。そう、“愉快な普通の兄ちゃん”として。怖さはなかったが、そこには親しみやすさがあった。

 ギスギスした派閥をなくし、移籍選手には真っ先に声を掛ける親しみやすさ。ド迫力のキャプテン阿部慎之助と普通の兄ちゃん風の内海哲也という対照的な投打のリーダー像。2度のV3を達成したチームは、なんて絶妙なバランスで成り立っていたのだろうか。やっぱりあの頃の巨人は最高で最強だったと思う。

西武の内海にワクワクする。

 さて、もうすぐ「西武の内海哲也」が始まるだろう。プロ16年目、新天地では投手陣最年長。早くも辻発彦監督からの期待のコメントも聞こえてくる。恐らく、先発のチャンスは増えるはずだ。

 交流戦では'12年にMVP獲得、パ・リーグ球団相手に通算22勝19敗、防御率2.81と実績もある。その交流戦や日本シリーズの巨人戦で、内海が苦楽をともにした盟友の阿部や亀井善行に対して投げる姿を想像するだけでワクワクする。

 今を生きるプロ野球選手に、過去を振り返っている暇はない。

【次ページ】 選手とファンの間もつないだ。

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