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女子レスリングの死闘が始まる……。
東京五輪へ向けた競争がスタート!
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2018/12/19 10:30
10月に行われた全日本女子オープン選手権(57kg級)。決勝での伊調馨に、快勝の笑顔は無かったが……。
リオ五輪・金メダリスト同士の闘いに。
なぜ若手の登竜門的な位置づけにある大会に伊調が出場したかといえば、今大会への出場切符を手にしたかったからにほかならない。
この階級にはリオデジャネイロ・オリンピック63kg級で金メダルを獲得。その後も世界選手権で連覇を続けている川井梨紗子もエントリーしている。
いやがうえにも新旧女王対決への期待が高まるが、現時点では継続してマットに上がり続けている川井が一歩リードしているか。
全日本女子オープンで伊調は何度かバランスを崩しかけたりするなどブランクを感じさせる場面があったことがその根拠。
復帰戦から2カ月、どれだけ実戦の勘を戻しているかが勝負のカギを握っている。
伊調の休養中は連勝記録を続け“絶対女王”の名をほしいままにしていた川井も、今年のアジア大会では準決勝で63kg級の世界王者オーコン・プレブドルジ(モンゴル)にまさかのフォール負け。
連勝記録を31でストップさせたが、気を取り直して2カ月後の世界選手権ではV2を達成している。
2014年は伊調が完勝だったが……。
川井にとって一番のネックは世界選手権(59kg級)と同様、60kg以下で闘うことか。
これまでは階級の上下を全く苦にしてこなかったタイプだが、今回はどうなるか。
伊調と川井は至学館高→至学館大(※伊調が在籍時は中京女子高&大)と同じコースを歩んでいるが、川井が入学した時に伊調はすでに練習の拠点を東京に移していたのでほとんど接点はない。
そんなふたりは2013年から14年にかけ、3度激突。いずれも伊調が勝利を収めている。いずれの試合でも、川井は伊調から1点も奪っていない。ただ、その後、川井は急成長を遂げているので、初対決時の試合内容は参考程度にしかなるまい。
川井が世代交代を成し遂げ、東京オリンピックに向け疾走するのか。それとも伊調がレジェンドの健在ぶりを示すのか。