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東京五輪で変容する日本の空手界。
全日本空手道選手権で見た風景とは?

posted2018/12/13 17:00

 
東京五輪で変容する日本の空手界。全日本空手道選手権で見た風景とは?<Number Web> photograph by Koji Fuse

ぞれぞれ個人戦の優勝者たち――右から香川幸允、喜友名諒、植草歩、清水希容。

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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Koji Fuse

「全日本空手道選手権」といえば、年に一度開催される伝統派空手の祭典。

 組み手は無差別級で争われ、トーナメントには男女ともオールスターというべきメンバーが集う。

 しかし、今年の全日本選手権・個人戦(12月9日・日本武道館)はいつもと様子が違っていた。

 男子の組み手を見てみると、日本のエースである男子-84kg級の荒賀龍太郎、1カ月前に開催された世界選手権で男子-75kg級3位の西村拳、男子-60kg級準優勝の佐合尚人らナショナルチーム入りしている選手の大半が欠場していたのだ。

 ナショナルチームの中で、今大会に出場した男子は最重量級となる+84kg級の香川幸允のみ。女子の方も欠場者が相次いだ。

 もちろんケガで欠場を余儀なくされた選手もいたと思われるが、世界選手権では女子-68kg級代表だった染谷香予のように、ちょうど同日大会最終日を迎えていた『KARATE1シリーズA』(中国・上海)に出場している選手もいた。

全日本より優先される国際大会!?

 なぜ染谷は全日本選手権ではなく、国際大会に出場していたのか――。

 それはKARATE1シリーズAで入賞すれば、オリンピック出場の道標となる「WKF(世界空手連盟)」制定の世界シニアランキングのポイントを稼げるからにほかならない。

 オリンピックを目指すならば、ポイント対象となる国際大会に出場し続け、勝利を重ねていかなければならないというわけだ。

 すでに、東京オリンピックへ向けた過酷な代表争いレースは始まっていたのである。

【次ページ】 国際大会で続いた惜敗。

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