プレミアリーグの時間BACK NUMBER
吉田麻也は監督交代に明るい表情。
「サウサンプトンに合っている」
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2018/12/08 16:30
吉田麻也は今季もサウサンプトンで出場機会を確保している。新監督の戦術にもハマりそうだ。
3失点は「受け入れられない」が。
もちろん、吉田がCBの立場から「受け入れられるべきものではない」と話した3失点に目を瞑ることはできない。前節で2点リードをふいにしたばかりでもあり、国内メディアでは「守れないチーム」としてのサウサンプトン評が多い。筆者が手に取った翌朝の『ミラー』紙は、4バックの全員が10点満点中3点という低評価を受けていた。
個人的には、左SBのマット・ターゲットが5点、他の3名には及第点の6点をつけていた、試合当日の『スカイ・スポーツ』の採点に近い印象である。
立ち上がりから敵に狙われたターゲットに対し、失点前の前半5分過ぎから吉田はしきりに言葉をかけていた。そしてサウサンプトン守備陣は、トッテナムに攻め崩されはしなかったからだ。
勝者から選ぶマン・オブ・ザ・マッチは、1ゴール1アシストのハリー・ケインではなく、4度の好セーブを披露したユーゴ・ロリス。格上の順当勝ちというシナリオは否定できなかったが、サウサンプトンは攻守に圧倒されたわけではなかった。
吉田の機動力と足元は武器になる。
完敗の印象を与える3失点は、2度のCKと個人のミスに端を発している。
1失点目は、ゴール前の人混みからケインにスルスルとニアポストに詰められた。2失点目の場面では、ルーカスの前にいた3名が、揃ってシュートブロック後のリバウンドに反応が遅れた。3失点目は、タッチライン沿いでのクリアミスにつけ込まれた。
いずれも最大の原因を挙げれば、守勢が続くなかでの一瞬の気の緩みである。そう考えると、プレッシングをはじめ、ハーゼンヒュットル体制下で求められる能動的な守備の方が、集中力は途切れにくいとも考えられる。
吉田について言えば、トッテナム戦でコンビを組んだユース出身のジャック・スティーブンス、今夏に加入したヤニク・ベステルゴーアなど、チーム内の競争相手に負けない機動力と足元の安定性を持つ。
相手の前でボールを奪って味方に繋げられるCBとしても、存在をアピールすることができるだろう。新監督が好むサッカーのスタイルは個人的にもハマるのではないかと尋ねると、間髪容れずに「そうですね」との答えが返ってきた。