プレミアリーグの時間BACK NUMBER
吉田麻也は監督交代に明るい表情。
「サウサンプトンに合っている」
posted2018/12/08 16:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
AFLO
サッカーの母国として知られる英国は、古生物学発祥の地でもある。1859年に出版された『種の起源』で進化論を説いた自然科学者、チャールズ・ダーウィンも英国人だ。そして、ダーウィンが説明した「適者生存」の原理は、 同じ19世紀後半から国内リーグが存在する、この国のサッカー界にも当てはまる。
英国人に言わせれば、12月頭の今季プレミアリーグ第14節後に起こったサウサンプトンでの監督交代も、「自然淘汰」ということになるのだろう。
解任されたマーク・ヒューズは、在任9カ月足らずの短命に終わった。昨季は、8試合を残して降格圏ギリギリの17位で引き継いだチームを残留に導いていた。だが今季は、自身のラストゲームとなった第14節マンチェスター・U戦を終えた時点で、1勝6分7敗の18位。リーグ戦での白星は昨季終盤から通算でも3勝のみ。クラブ経営陣が先行きの不安を抑えられなくなっても仕方なかった。
布陣も選手起用も疑問の目。
采配の内容も、今季は説得力を欠く一方だった。
システムにしても、昨季降格回避に寄与した5バックに近い3バックに磨きをかけていたと思いきや、序盤戦から4バックが基本となり、解任間際には3バックに戻すという具合……。その間、出来の良し悪しとは無関係に継続して使われない者がいれば、逆に先発を続ける者もいた、選手起用に疑問の目が向けられるようにもなった。
結果、マンU戦では2点のリードを守れず、その4日前にPK戦で敗れたレスターとのリーグ杯では無得点と、パフォーマンスは攻守に不安定だった。
仮に続投を許されていたら、指揮官自身も「サバイバル・モード」となり、より守備的方向に進んでいったのではないかと思う。ヒューズ監督は、守備の堅い質実剛健な戦い方を得意とするタイプ。そしてそのようなサウサンプトンの変化は、周囲から「退化」とみなされたことだろう。