プレミアリーグの時間BACK NUMBER
吉田麻也は監督交代に明るい表情。
「サウサンプトンに合っている」
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2018/12/08 16:30
吉田麻也は今季もサウサンプトンで出場機会を確保している。新監督の戦術にもハマりそうだ。
吉田の言動は間違いなくポジティブ。
では、肝心のチーム戦力はハーゼンヒュットル新体制に適応できるのか?
プレミア復帰1年目からの古株である吉田麻也は「チームに合っていると思う」と言う。新監督がスタンドから見守る中、アシスタント・コーチのケルビン・デービスが指揮を代行した12月5日の第15節トッテナム戦(1-3)でフルタイムをこなした後の発言である。
3点差とされた55分の時点で敗戦が濃厚となり、勝ち星のないリーグ戦が連続11試合に伸びた。それでも、吉田の言動は過去数試合に比べて間違いなく前向きだった。
今季の吉田は、ワールドカップ明けのプレシーズン合流の遅れもあり、リーグ戦でスタメンに名を連ねるまでに2カ月近く辛抱しなければならなかった。トッテナム戦で先発したスティーブン・デイビスとジェイムズ・ウォード・プラウズ、終盤にベンチを出たオリオル・ロメウらのMF陣と同じく、開幕から出場時間に恵まれなかった1人だ。となれば、体制変更を歓迎しても当然という見方もあるだろう。
モニターに移った新監督の笑顔。
だが吉田に関しては、トッテナム戦が5試合連続(カップ戦含む)の先発だったように、ヒューズ体制の末期に再びチャンスを与えられるようになっていた。11月には、長距離移動を伴う日本での代表戦から戻ってすぐのリーグ戦でも先発起用された。それが監督交代となれば、ポジション争いはイチからのスタートとなりかねない。
1月に移籍市場が開けば、それなりの即戦力獲得予算が新監督に与えられるだろう。それでもなお、日本代表CBが何か吹っ切れたような表情を見せていたのは、サウサンプトンが然るべき方向へと再び進み始める転機の到来として、今回の監督交代を受け止めていたからではないだろうか。
同様の意識は、トッテナム戦でのチーム全体からも窺えた。リーグ順位とともに自信も低下し続けたチームは、敵地での後半早々に0-3とされた時点で俯いても無理はなかった。
しかしサウサンプトンの選手たちは前を向き続け、相手ゴールに向かう意欲を強めてさえいた。試合終了間際にチャーリー・オースティンが一矢を報いたゴールは、試合終盤の流れのなかで奪うべくして奪った1点だった。
その瞬間、ウェンブリー・スタジアムの記者席モニターには、スタンドで微笑むハーゼンヒュットルの顔が映し出された。