フランス・フットボール通信BACK NUMBER
仏誌でハリルホジッチが独占告白。
ナント復活の手応えと日本の思い出。
text by
レミー・ラコンブRemy Lacombe
photograph byBernard Le Bars/L'Equipe
posted2018/12/04 17:00
フランスにおけるヴァイッド・ハリルホジッチの栄光は揺るぎない。ナントで再び指揮官としての栄光を掴めるか?
「私は聖職者ではない」
――チームの雰囲気は得点や失点の際のベンチの反応でわかるとあなたはよく言いますが、ナントの場合はどうでしょうか?
「それはあなた方が見るべきことだろう。私は試合の間中ベンチに背を向けているからね。ただ、ローラン・コシェルニーが言っていたけど、自分のチームが負けることを望んでいるベンチの選手がいるのも残念ながら事実だ」
――そうしたネガティブな感情は、どうすれば払拭できますか?
「私はグループのスピリットを作るように心がける。ハッキリしないのは嫌だから、選手にはこう言っている。『君らのチームメイトの中には真剣に練習に取り組んでいながら、プレーの機会が与えられていない者たちがいる。すべての選手を満足させられることは私にはできない』と。
ただ、実際に選択するのは難しい。ベンチに置くことを心から申し訳なく思う選手もいる。
しかし私は慈善事業活動の指揮をしているわけではない。
私は聖職者ではない。
ワールドカップの23人を選ぶ際には人間的に大きな苦しみが伴う。しかしその苦悩を表に出してしまったら、もはや監督とは言えない。単なるリーダーだ。
その意味でディディエ・デシャンのやり方は理にかなっていた。彼が選んだのはどんなときでもチームのためにポジティブでいられる選手たちで、能力的には優れていてもコレクティブに戦えない選手は排除したからね」
「クラブを日本化したいと思っている」
――ただクラブでは違うのでは? 契約下にある選手だけで戦わねばなりません。
「その通りで、リーグカップ(モンペリエ戦、3対0の勝利)で私は、リーグであまり出場機会のない選手たちを起用したが、彼らは期待に応えてくれた。これこそ全員がプロジェクトの一員であることの証明だ。ここまでの最大の勝利で、誰もが同じ目的を共有して心をひとつにしている」
――すべてがうまく機能するように、選手たちの日常的な調整もしているのですか?
「実は、クラブを日本化したいと思っている。日本社会固有の価値観――勤勉さや他人尊重の精神、几帳面さ、意志の強さ、日本人の精神性といったものを、私はクラブにもたらしたい。
練習に遅れる選手は試合にも遅れる。
違いを作り出す微細な要素を欠いている。
莫大な収入を得ながら遅刻を繰り返していては、高いレベルのプレーなどとてもできない」
――ナントでは遅刻はありませんか?
「あり得ない。全員で朝食をとるために、練習の1時間45分前に来なければならないからだ」