フランス・フットボール通信BACK NUMBER
仏誌でハリルホジッチが独占告白。
ナント復活の手応えと日本の思い出。
posted2018/12/04 17:00
text by
レミー・ラコンブRemy Lacombe
photograph by
Bernard Le Bars/L'Equipe
10月頭にリーグ・アンの名門FCナントの監督に就任したヴァイッド・ハリルホジッチは、大胆なチーム改革を実行し、19位だったリーグ戦での順位を一気に10位にまで引き上げてみせた。50日の間にいったい彼は何をおこなったのか――。
『フランス・フットボール』誌(11月20日号)において、その模様がインタビュー形式で掲載されたので、ここに抄録として転載する。
監修:田村修一
――ナントに着任したときの最優先事項は何でしたか?
「状況の分析をできるだけ早くすることと、選手を理解すること、そして人々と話しあうことだった。正式契約の前に最初の練習を行った。好奇心と不安が入り混じった選手たちの視線をよく覚えている。私の様々な噂を聴いていたのだろう」
――具体的に何を言いましたか?
「私は現役時代、このクラブで5年間プレーし大きな成功を収めたが、クラブに対して精神的に負い目を感じている。今日の状況はとても容認できるものではない。一日も早く苦境を脱するためにここにやって来た。このチャレンジをやり遂げる気がないものは直ちに出ていって欲しいと言った」
――選手の反応はどうでしたか?
「彼らがどう考えたかはよくわからない。しかし私の話に注意深く耳を傾け、私も正直かつストレートに語った」
――とはいえ初戦は0対3の敗北でしたが。
「衝撃だった……7分間で2対0とリードされたのは、監督のキャリアの中で初めてだった。前半を終えて3対0となり、誰もがハーフタイムのロッカーで私が怒鳴り声をあげて騒ぎ立てるだろうと予想した。ところが私は逆に選手たちを落ち着かせ、自信を取り戻させるためにこう言った。
『今日は負けるだろう。だがそれは重要なことではない。われわれが勝つのは次の試合だ。君たちはもっと別の何かを見せてみろ』
そして試合後には『前半は負けだったが後半は引き分けだっただろう』と」
――あなた自身は使命の難しさを実感しましたか?
「ホテルに戻って寝室のベッドの上でこう考えた。『ヴァイッド、どうしてお前はいつもこうなんだ。リールに始まりレンヌ、パリSG、アルジェリア、そして今度はナントだ。敢えて苦境に飛び込むのか? さっさと荷物をまとめて家に帰ったほうがずっといいぞ』と。
同じような状況は幾度となく経験しているから、何が待ち受けているかも良くわかっている。私はマゾではない」