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酒井宏樹こそが森保Jのコアだ。
周囲の“我”を光らせる兄貴ぶり。 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2018/11/20 11:40

酒井宏樹こそが森保Jのコアだ。周囲の“我”を光らせる兄貴ぶり。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

現在の日本代表でスタメンを失うことが考えづらい選手を考えた時に、酒井宏樹はその上位に確実に入っている。

堂安へのパス最多は酒井宏樹。

 そうしたディテールをつきつめるための準備――簡単には目に見えないプレーの蓄積が勝負をわけることを忘れてはいけない。

 実はウルグアイ戦でも、ベネズエラ戦でも、堂安が受けたパスで最も多かったのが、酒井からのものだった。ウルグアイ戦では30本中12本が、ベネズエラ戦では35本中11本が酒井からのパスで、どちらも最多だった。

 堂安は、酒井との関係をこう語っている。

「僕が自分から要求するのもそうですけど、どちらかというと、宏樹くんが僕に合わせてくれていると思います。僕は自分の良さをだすために、あまり気を使いすぎないようにしています。僕が左利きなので、ちょっとディフェンスがきてもキープできるというのは信頼してもらっているので、そこはすごくやりやすいですね」

 一方の酒井はこう話している。

「やっぱり、お互いの信頼関係じゃないですかね。合流する前から、YouTubeにあがる律のプレーなどを通して、特長などを見ていました。自分の前にいる選手がどういうプレーヤーなのかが、自分にとってはすごく大事なので。

 試合中に(こんなプレーをするのかと)驚いてしまうようでは遅い。パス1つにしても、相手をギリギリまで引きつけてから出したいので。そこで余裕を持ってできれば、難しい状況をどんどん打開できるんじゃないかなと思います」

「攻撃の選手ファースト」の精神。

 他にも酒井は、「律が前を向いた時にはしっかり守備をやって欲しい。後ろに戻りながら守備をしないといけない状況では、オレが全部やるから」とも伝えているという。

 9月からスタートした森保一監督の率いる代表チームでは、前線の選手たちがまずは自分の良さを出して、チームに貢献しようと目をギラギラ輝かせている。そのうえで、チームとしての約束事を守ろうとしている。

 そして、その状況にこそ、酒井が輝く理由がある。

 酒井は、まるで英国紳士がレディーファーストを心がけるかのように、「攻撃の選手ファースト」をこれまでも貫いてきたからだ。

 ひょっとしたら、若いときには、その姿勢が頼りないと一部の人の目に映ったこともあるかもしれない。

 しかし、経験とキャリアを積み重ねてきたなかで、それを貫き続けた酒井は、頼りになる兄貴として存在感を増してきている。

【次ページ】 森保監督が感謝する酒井の存在感。

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