サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
酒井宏樹こそが森保Jのコアだ。
周囲の“我”を光らせる兄貴ぶり。
posted2018/11/20 11:40
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Takuya Sugiyama
「初ゴール」を祝うメッセージが試合後に数多く届いたのではないかと聞かれると、表情を崩した。
「そうですね。ゴールってやっぱり、すごいなと思いました。アシストしたときには全然こないのに(笑)」
でも、出場49試合目にして代表初ゴールを決めた直後に、酒井宏樹はこう語った。
「練習から、『ここに蹴ってくれ』と伝えていたら、本当にピンポイントで来たので。翔哉をホメてください!」
ゴールの秘訣を問われれば、自らのボレーの技よりも、それを導いたFKのキッカーである中島翔哉のボールの質をほめる。
それが酒井の生き様である。ブレることがない。
そんな彼の資質が持つ意味は、日本代表のなかで変わりつつあるのかもしれない。
細かな駆け引きを積み重ねて。
ベネズエラ戦で、ルイス・ゴンサレスを倒して失点につながるPKを与えてしまったことについてはこう振り返る。
「相手のFWのロンドンが下がったので、(相手のロングボールを)中央で跳ね返してくれるだろうと考えて、ポジションを高くとっていたんです」
しかし高い位置をとっていたために、ゴンサレスにボールが渡ったとき、背後から追いかけることになり、勢い余って倒してファールをとられてしまった。
「相手に攻め込まれる状態が続いたので、自分が少し高い位置をとって、逆に相手に攻め込むような状況に変えられれば……と思って駆け引きをしていたというか。その部分で(攻撃の)スイッチを入れたかったんですけどね。
それが裏目に出ることもありますし、もう少しリスク管理するべきでした。1個のピンチが全ての評価に影響してしまうので、そこがまた面白いところでもあるし、難しいところでもあります。トミ(冨安健洋)やダン(シュミット・ダニエル)が非常に良いプレーをしていたし、無失点に抑えてあげたかったんですけどね」
そうした細やかなポジショニングは、酒井が所属クラブでも心がけているものだ。