サッカー日本代表「キャップ1」の男たちBACK NUMBER
「あの時の梅崎司」へ、もう一度!
再び代表入りなら今度こそ仕掛ける。
posted2018/11/20 17:00
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph by
“Eijinho”Yoshizaki
“あの時の梅崎司”
新たに出会った指揮官、曹貴裁からよくこの話をされるという。湘南ベルマーレの梅崎司は、10年間在籍した浦和レッズを離れ、今季から新天地での日々を過ごしている。
「こんなアプローチをしてくださる監督は、初めてです。あの時の感覚が、また自分に湧いてくるように向き合っている時間、とでも言いましょうか」
日本代表キャップ1の男、梅崎司はプレーヤーとしての今日を生きる。この連載では初めて現役選手に話を聞いた。
大分トリニータ、グルノーブル・フット38(フランス)、大分、浦和を経てプレーする湘南では、チームの年長者として牽引役も務める。10月のルヴァンカップでは、梅崎の活躍もあり、湘南が栄冠を得た。その後、日本代表の国際Aマッチが行われるなか、彼の話を聞きたくなった。
「今秋の流れのなか、失礼は承知で現役の梅崎選手に話を聞きたい」とクラブに申し出た。「もちろんキャップ数は2にも3にも増やしたいという気持ちがある」という言葉が添えられ、取材のOKが出た。
今、彼にとって2006年9月6日、アジアカップ予選イエメン戦での経験がどんな意味を持つのか。そこから12年が経っている。
「何時でも仕掛ける。そうやって生き残る」
出場時間4分。ボールタッチ1回。
これが31歳になった梅崎にとって、ここまでの日本代表での全記録だ。
代表キャップを刻む前年の2005年に大分トリニータのユースチームからトップ昇格。出場機会を得られず、悔しい思いをした。当時はこの年に初めて選ばれたU-18代表が唯一といっていいプレーの場だった。翌年、「絶対にこの世界で生き残る」と覚悟を決め直した。
「とにかく自分が勝負すべきは、攻撃時にゴールに向かって仕掛けることだと。何時でも仕掛ける。そうやって生き残るしかないなと」
翌2006年は、レギュラー選手の負傷をきっかけに10節あたりからチャンスを掴んだ。
「誰でもかかってこいや! 日本代表の選手? 俺が抜いてやる、くらいの気持ちでいました。とにかく、どんどん仕掛けていくことだと」