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J1昇格がなくても。町田ゼルビアに
培われた相馬監督の鹿島イズム。 

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郡司聡

郡司聡Satoshi Gunji

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/11/20 10:30

J1昇格がなくても。町田ゼルビアに培われた相馬監督の鹿島イズム。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

川崎フロンターレを経て町田ゼルビアの監督に就任した相馬直樹監督。その手腕は今季のJ2を大いに沸かせた。

目標は6位以内から一番上に。

 トップチームが目に見えた成果を残す一方で、クラブは4月から水面下でサイバーエージェント(CA)の経営参画を模索していた。残念ながら9月27日にJ2ライセンスの付与が発表されて来季J1昇格への道は断たれたものの、10月1日にはCAグループの子会社として再スタートを切ることが発表された。

 それに加えて、藤田晋代表取締役社長が2019年度中の練習環境整備を明言。J1ライセンス取得に見通しが立ったことで「結果で環境を変える」(中島)と、奮闘してきた選手たちの思いも報われる格好となった。

 10月初旬には相馬監督がチームの目標を当初の「6位以内」から「一番上」に“上方修正”する意向を選手たちに伝えたという。「相馬さんの決意を感じてうれしかった」と井上が言うように、J2制覇に目標を切り替えて最後まで戦ってきた。

「オレと鬼木は鹿島だから」

 そうは言っても、周囲はどうしても「J1に上がれないのに、モチベーションを維持できるのか」と黙っていてはくれなかった。当時首位だった大分を撃破した第37節の記者会見では、その質問が相馬監督に投げかけられている。

 しかし指揮官はこう言い切った。

「この試合のピッチに立てば、目の前に勝ち点3がある。ピッチに立って、勝ちに行かないような選手はウチのチームにはいらない。ライセンスとは関係なく、この結果は目の前にいる相手に勝ちに行くことを選手たちが表現してくれていることに尽きると思っている」

 川崎フロンターレが鬼木達監督の下、クラブ史上初のタイトルを手にしたときのこと。相馬監督は旧知のカメラマンに対して、「言っても、オレと鬼木は鹿島(出身)だから」と漏らしていたと聞いたことがある。

 現役時代のプロキャリアが“常勝軍団”鹿島で始まった指揮官には、20冠クラブの勝者のメンタリティーが今でも息づいている、と言っては大袈裟だろうか。こうしてシーズンラストまで持続されたモチベーションの生命線は、「一番上」を目指すことに集約されていた。

【次ページ】 「選手に無理しか言ってない」

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