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イニエスタから川崎へ最高の賛辞。
「良いサッカー」で圧倒する秘訣。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/10/23 11:50
あのイニエスタがボールを「追う側」に。それほどまでに川崎フロンターレのパスワークは冴え渡った。
イニエスタ&ポドルスキに苦戦。
この試合の川崎は、出場停止の選手がいたこともあり、通常の4-2-3-1ではなく4-4-2でスタートしていた。小林悠と知念慶のツートップが精力的にボールを追ったものの、後方で数的優位を作る神戸のビルドアップにプレスは空転した。
サイドに追い込もうとしても、タッチラインの幅を広く使って展開され、ボールの取りどころも定まらない。
かといって中央のエリアを手薄にすると、中盤の底にいる藤田直之だけではなく、イニエスタや三田が近い距離で顔を出すため、中央から自在に組み立てを許してしまう悪循環だった。
「アンカーのところがどうしても閉まらなかった。あそこに自分やリョウタ(大島僚太)が出て行くと、(まわりに)ポドルスキとイニエスタと三田の3人がいる状態だった」
あの時間帯の対応の難しさを、ボランチの中村憲剛はそう振り返る。中盤でボールを保持されると、数手先を読んだ展開を繰り出すイニエスタや、正確無比なサイドチェンジを通し続けるポドルスキの配球に、川崎の守備陣形は、これまでにないほど左右に揺さぶられ続けた。
谷口vs.ウェリントンも後手。
前の守備がハマらないだけではなく、後ろの守りもハマっていなかった。あるターゲットマンの存在が川崎守備陣を悩ませていたという。ウェリントンである。
「(プレスで)寄せ切っても、ウェリントンの強さがあった。そこで起点を作られたし、そこで広げられた。前半の失点や悪いときは、そういう幅を使われた」(登里享平)
前線が守備で深追いすると、その逆手を取るようにロングボールを蹴られ、巧みなポストワークで攻めの拠点を作られた。ウェリントンとのマッチアップで後手を踏んだことに谷口彰悟は反省の弁を述べている。
「(ウェリントンの)空中戦は本当に強かった。あそこでうまく回収できなかったのが、こっちのリズムが狂ったひとつの要因だと思います。もっとバトルしてマイボールにしないといけなかった」
守備がハマらず、攻撃のリズムがつかめず。そして20分間で立て続けに3失点。あきらかに、いつもの川崎の姿ではなかった。