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イニエスタから川崎へ最高の賛辞。
「良いサッカー」で圧倒する秘訣。
posted2018/10/23 11:50
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
Getty Images
「殴り合いの試合展開というものを挑むには、リーグの中でも非常にやってはいけない相手とそうなってしまった」
20日のJ1第30節、試合後のヴィッセル神戸・リージョ監督の言葉である。
3-1から3-5という逆転負けを喫しただけではなく、避けたかった「殴り合い」を繰り広げた展開も含めて、指揮官は「非常に残念です」と悔やんだ。
一方、不本意とも言える「殴り合い」なのは、勝った川崎フロンターレも同様だった。
一昔前の川崎ならば、「殴り合い上等」だったのかもしれない。だが現在の川崎は違う。失点数はリーグ最少で、第29節までに完封試合は「13」。今季のゲームスコアを眺めてもらえればわかるが、「殴り合い」に持ち込むような戦い方は志向していないのである。
では、いつもと違う「殴り合い」は、いかに引き起こされたのか。
まさかの20分間で3失点。
立ち上がりに関して、川崎は悪くなかった。
前半13分には小林悠がPKを決めて、幸先よく川崎が先制している。本来であれば、いつものようにボールを握りながら、ゲームをコントロールして追加点を狙っていくはずだった。だが、その直後の15分にオウンゴールであっさりと試合が振り出しに戻ると、古橋亨梧と三田啓貴に立て続けにミドルシュートでゴールネットを揺らされた。
先制後の試合運びに失敗し、20分間で3失点。それぞれの失点場面に目を向けると、どれもエリア内を切り崩された形ではないと言えるかもしれない。だが今季のリーグ戦で一度も3失点を喫していなかった川崎守備陣にとって、あまりにショッキングな出来事だった。
一体、何が起こっていたのか。
ディフェンスリーダーである谷口彰悟は、いつも通りには機能していなかった守備に難しさを感じていたという。
「守備がハマッてなかったですね、前半は。前から奪いに行くところもそうだし、ブロックを組んで守るところもそうでした」