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イニエスタから川崎へ最高の賛辞。
「良いサッカー」で圧倒する秘訣。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byGetty Images
posted2018/10/23 11:50
あのイニエスタがボールを「追う側」に。それほどまでに川崎フロンターレのパスワークは冴え渡った。
パス34本をつないだ大島の一撃。
圧巻だったのは、逆転弾となった大島のゴールだろう。
フィニッシュワークまでにつないだパスは34本。見事なパスワークから、家長のヒールパスに反応してゴール前に侵入すると、小林とのワンツーで抜け出して、「3人目の動き」の見本のような崩しでゴールネットを揺らした。
複数の選手達がイメージを共有しながら連動し、高い技術を駆使して崩したこの美しいゴールは、今季のJリーグ年間ベストゴールにノミネートされても驚かないだろう。
イニエスタからの最高の賛辞。
終わってみれば、5得点の逆転勝ち。
試合後、多くの報道陣が取り囲む中、川崎フロンターレの印象を尋ねられたイニエスタは、「チームとしてしっかりしていて、良いサッカーをしている。個人としても非常に良い選手がそろっているチームだと思った」とコメントしている。
神戸加入が発表された当初、「日本にもこういうチームがあるんだとイニエスタに思ってもらえるように頑張りたいですね」と対戦を心待ちにしていた中村憲剛にとっては、最高の賛辞として響いたに違いない。
2位のサンフレッチェ広島との勝ち点差は4に開き、連覇にまた一歩近づいた。
だが、その状況を過信する雰囲気はチームにない。予想だにしていなかった「殴り合い」で勝ち切ったことも含めて、中村は気を引き締める。
「1-3からの5-3なので自信を持っていいと思います。相手にいくら良い選手がいても、自分たちのサッカーを突き詰めれば、こういう風に点差が出ると自分たちで証明できた。ただ、その自信も自分たちがやるべきことをやらなくては脆くなる」
自信という言葉は、「自分を信じる」と書く。
言い換えれば、それぞれが信じるに値するだけのものを築いてきたかどうか。34本のパスをつないで美しく崩した川崎には、それがあるはずだ。残り4試合、チームとしてそれを証明するだけだ。