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J1昇格争いに大宮は生き残れるか。
カウンターの“型”がその分水嶺。

posted2018/10/24 10:00

 
J1昇格争いに大宮は生き残れるか。カウンターの“型”がその分水嶺。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

大前元紀の個人能力はJ2屈指だ。大宮には彼らを存分に生かしたカウンターを仕掛ける意図が欲しい。

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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 J2優勝争い、J1昇格争いもいよいよラストコーナーに入ってきた。

 第38節が始まる前の順位は、1位松本(勝点69、以下同じ)、2位町田(68)、3位大分(66)、4位福岡(64) 、5位大宮(63)、6位横浜FC(63)、7位東京V(63)。残り試合が、実質的には7位までのチームで自動昇格、プレーオフを争っている。

 その中で大宮は前節で栃木を1-0で破り、自動昇格に望みをつないだ。

 この試合で決勝ゴールを挙げた大前元紀は、こう言った。

「栃木に勝って、次の横浜FC戦に勝てれば(自動昇格に向けて)でかいと思う。ホームでやった時は勝っているんで、次は難しい試合になると思うけど、勝てれば上に行けると思うんで絶対に勝ちたいですね」

 横浜FCに勝てば眼下の敵を振り落とすことができるし、自動昇格に挑む権利を得られる。さらに自動昇格を争う上位チームにプレッシャーを掛けられる。

 大宮にとって横浜FC戦は極めて重要な試合だった。

主導権を渡しても守備を意識。

 だが、今季の大宮は「ここで勝っていれば上に行けたのに」という試合を落としている。福岡、横浜FCがともに敗れた第32節の甲府戦、そして第35節、昇格を争う福岡との直接対決も敗れた。

 大事な試合に勝てない「勝負弱さ」。

 それが、今ひとつ波に乗り切れず、優勝争いに絡めない要因だった。

 前半は横浜FCがボールを握り、イバのポストを活かしてパスをつなぎ、いい形でフィニッシュに繋いでいた。一方で大宮は仕方なく大前が下がって守備に入るなど、ほぼ防戦一方だった。

「相手にボールを持たれて、きつい時間が続いていた。でも、守備から入ること、前半は失点しないというのを意識してやれていたんで、チャンスが来た時にしっかり仕留めればいいかなって思っていました」

 それでも大前の言葉通り、大宮は冷静に対応した。ブロックを敷いて守り、セットプレーの時はシモビッチをストーン(ニアサイドでクロスを跳ね返す役割)にしていた。イバには河本裕之がぴったりとマークし、フィニッシュを許さない守りができていた。

【次ページ】 先制後の試合運びに課題が。

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大宮アルディージャ
大前元紀

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