福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史「純粋にすごいな、と」
堂安律のゴールと森保Jの“余裕”。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/10/17 17:00
代表初ゴールを奪った堂安律。酒井宏樹との連係で若手版バロンドール候補10人に選ばれた実力を見せた。
削られたとしても淡々と。
ミスからの失点はあったとはいえ、相手が前からプレスをかけてきても冷静にボールを動かせていたし、攻撃のリズムがウルグアイにある時間帯も落ち着いた守備の対応を見せました。流れの中で相手に崩されたのは3失点目と、後半開始早々に東口がファインセーブで防いだシーンくらいでした。
一方でウルグアイ守備陣は、日本の前線にボールが入ると「前を向かせるもんか」とファールも辞さないくらい厳しいチェックをしてきました。相手が本気だった証拠ですが、それに対しても動揺することなく、むしろ慌てず相手の出方を冷静に見極めていた。たとえファールで削られたとしてもイライラすることなく、いい意味で淡々とプレーを遂行していました。
大迫らW杯メンバーはもちろんなんですけど、南野、中島、堂安の若手も海外リーグでやっているからこそ、精神的な余裕が日に日に増している印象です。
相手の読みを外す堂安の一撃。
その余裕は、堂安の代表初ゴールから強く感じ取れました。堂安→酒井→堂安とパスをつないだコンビネーションでは、そのプレー1つずつで相手の読みを外していた。
まず堂安が酒井にパスを出したタイミング。対応する相手は「ドリブルで仕掛けてくるだろう」と構えているところにパスを出されたから、酒井へのマークが遅れた。その酒井もシュートと思わせつつ、堂安を視界に入れてスルーパスを送って、堂安がカバーに入ったゴディンをかわしてのトラップからシュート。すべて狙い通りでしょう。
これまでの日本はボールは保持しても、強豪国相手になかなかフィニッシュまで持ち込めなかった。それがこの日の試合はシュート14本。2点目の大迫、4点目の南野のゴールはそれぞれ中島と堂安が放ったミドルを詰めて生まれたもの。積極性と攻撃のバリエーションの豊富さが噛み合っていました。