サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
価値のある、記憶に残らない試合。
パナマ戦は代表にとって重要だった。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2018/10/13 12:30
冨安健洋にとってパナマ戦は記念すべき試合となった。数年後、そう語られる日がくるだろうか。
泥臭いゴールには重要な意味がある。
42分に南野拓実があげた先制弾は、敵陣での相手のパスミスをきっかけとしたものだった。65分に伊東純也がマークした2点目も、85分に途中出場の川又が誘発したダメ押しのオウンゴールも、幸運に恵まれたところがあった。
敵将ガリー・ステンペルが「非常にバカげた形で3点を失ってしまった」と振り返ったのは大げさでないが、どんな形でも得点には意味がある。むしろ、対戦相手さえ納得させるファインゴールばかりでなく、不恰好と言っていい形でも得点を奪っていることを評価したい。
泥臭いゴールが取れる選手も間違いなく必要で、そうした姿勢が日本の世界戦略には欠かせないからである。自分たちが得意とするスタイルに、決して縛られてはいけない。
その意味で、16日のウルグアイ戦は興味深い。
ウルグアイの本気度は意外なほど高い。
森保監督は「今回の2試合でできるだけ多くの選手にピッチに立ってもらいたい」と話しており、埼玉スタジアムへ舞台を移す南米の伝統国との一戦では、パナマ戦で起用されなかった長友、吉田、酒井、遠藤、中島翔哉らのスタメン出場が濃厚だ。パナマ戦で終盤に出場した堂安律と柴崎も、次はスタメンに指名されるに違いない。
ウルグアイは老獪だ。12日の韓国戦に1-2で敗れた彼らは、日本戦にプライドをかけて臨んでくるだろう。結成間もないチームにとって、これ以上の相手はない。
具体的には、ポゼッションとタテに速い攻めのバランスをどのように見出すのか。指揮官が言うところの「対応力と臨機応変さ」が、キックオフ直後から問われる。