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価値のある、記憶に残らない試合。
パナマ戦は代表にとって重要だった。

posted2018/10/13 12:30

 
価値のある、記憶に残らない試合。パナマ戦は代表にとって重要だった。<Number Web> photograph by AFLO

冨安健洋にとってパナマ戦は記念すべき試合となった。数年後、そう語られる日がくるだろうか。

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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 1年後、2年後に思い出そうとしても、細部にまで記憶が届かない試合がある。対戦相手がさほど強豪ではなく、位置づけがそこまで重要ではない試合だ。

 たとえば、'14年9月9日のベネズエラ戦や、'15年3月31日に開催されたウズベキスタン戦のような試合である。ベネズエラ戦はハビエル・アギーレの、ウズベキスタン戦はヴァイッド・ハリルホジッチの、監督就任第2戦だった。どちらのゲームも、初陣に比べるとインパクトは薄い。

 10月12日に行われた日本対パナマ戦も、人々の記憶に止まる一戦とは成り得ないだろう。

 フィジカルコンディションが万全ではないアウェイチームが、時間の経過とともに運動量や身体のキレを失っていく。最終的には点差がついて、ホームの日本が観衆と歓喜を分かち合う──国内で行われるテストマッチの典型的な展開で、森保一監督のチームは3-0の勝利を飾った。

 北中米カリブ海地区からの来訪者は、先のロシアW杯に出場している。しかし、初の世界的舞台では、何のインパクトを残せなかった。ベルギー、イングランド、チュニジアと同じグループGで、3連敗に終わっている。

 日本代表が新潟で試合をするのは’14年10月10日以来4年ぶりで、森保監督が選んだメンバーには長友佑都、吉田麻也、酒井宏樹、柴崎岳、原口元気、大迫勇也らW杯16強入りのメンバーが含まれていた。ところが、前売りチケットは完売せず、当日券が発売された。

 9月のコスタリカ戦に続いてソールドアウトとなった16日のウルグアイ戦に比べると、一般的な関心は高くない試合だったわけである。

記憶の濃淡と、試合の価値は一緒ではない。

 もっとも、メディアやファンの記憶の濃淡や関心度は、チームに無関係だ。

 '14年のベネズエラ戦は、国際Aマッチ出場2試合の武藤嘉紀が代表初ゴールをマークした。代表デビューの柴崎も、初出場初得点を記録している。

 '15年3月のウズベキスタン戦では、昌子源が代表デビューを飾った。青山敏弘、宇佐美貴史、川又堅碁が代表初ゴールをゲットし、5-1の大勝に貢献した。

 武藤、柴崎、昌子、宇佐美の4人は、先のロシアW杯でメンバー入りした。柴崎と昌子はレギュラー格として活躍した。改めて掘り起こさないと忘れられがちな試合も、あとになって意味を持つことはあるのだ。

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