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価値のある、記憶に残らない試合。
パナマ戦は代表にとって重要だった。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2018/10/13 12:30

価値のある、記憶に残らない試合。パナマ戦は代表にとって重要だった。<Number Web> photograph by AFLO

冨安健洋にとってパナマ戦は記念すべき試合となった。数年後、そう語られる日がくるだろうか。

冨安が吉田のパートナー候補に。

 森保監督にとって就任2試合となるパナマ戦でも、重要な一歩を踏み出した選手がいる。冨安健洋である。

 9月のコスタリカ戦で出番のなかった19歳のセンターバックは、待望の代表デビューを飾った。持ち味とする人への強さで最終ラインを引き締めつつ、シントトロイデンへの移籍で磨いてきたフィードで好機のきっかけを作った。

 ハリルホジッチ元監督が日本代表に残した「タテへの速さ」は、西野朗前監督を経て森保監督の指揮下でも追求されている。9月のコスタリカ戦では、ダブルボランチの青山と遠藤航がその役割を担った。

 青山はこの日もタテパスで攻撃をスピードアップさせていたが、最終ラインからも攻撃のスイッチを入れられるようになれば、「色々な対応力を持って戦いたい」という森保監督の方向性がより太くなっていく。指揮官がキャプテンに指名した吉田のパートナー候補に、冨安が浮上してきたと考えていいだろう。

スキのないチームへの萌芽は見えた。

 この試合のテーマと見られていた「融合」はどうだったか。

 森保監督の就任から、まだ2試合目である。多くを期待する時期ではない。細かなミスを指摘するのではなく、積極的なトライを前向きに受け止めるべきだ。

 森保監督が掲げる「周りを生かし、支え合い、つながり合うことで自分の良さを出す」というコンセプトは、日本人にとって馴染み深い。この試合でスタメンに名を連ねた原口は、2列目の左サイドからふたつの得点に絡んだ。同じく初先発の大迫は、4-2-3-1の1トップの仕事は十分に果たした。初めて一緒にプレーする選手がいても、日本人はそれなりに機能できる。

 化学反応と呼べるような連係が生まれるのは、もう少し先になるだろう。それでも、試合を重ねていくことでコンビネーションの練度は高まり、攻守ともにスキのないチームへ仕上がっていくとの未来図は描ける。

【次ページ】 泥臭いゴールには重要な意味がある。

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