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もはや過去のプレミア「ビッグ6」。
マンCとリバプールの熟成が異次元。 

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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photograph byUniphoto press

posted2018/10/06 16:30

もはや過去のプレミア「ビッグ6」。マンCとリバプールの熟成が異次元。<Number Web> photograph by Uniphoto press

昨季はCLの舞台でも激突したシティとリバプール。現地時間7日に注目のリーグ戦直接対決が開催される。

能動的なチェルシーは魅力だが。

 マウリシオ・サッリ監督は新任である。完成度でグアルディオラ、クロップと比較するのはアンフェアだ。しかし第7節のリバプール戦では、連動性、スプリント、プレー強度で一歩も引かず、後半の追加タイムまでハイテンションを維持して1-1の引き分けに持ち込んだ。ちなみにこの一戦は、「超濃密な90分」「今シーズンのベストバウト最有力候補」などなど、各方面で絶賛されている。就任から約3カ月、サッリ恐るべし……。

 ロマン・アブラモビッチ買収後のチェルシーは基本的に受動型だったが、今シーズンは極めて能動的だ。カウンターの基本はロングからショートに変わり、3ラインもコンパクトに保たれている。1試合当たりの平均パス本数も、昨シーズン比で約33%増の725本。サッリ体制下のチェルシーが劇的な変貌を遂げようとしていることは、データにも裏付けされている。

 しかし選手層が薄く、なかでもジョルジーニョの代役が見当たらない。サッリとともにナポリからやって来たMFは長短緩急のパスを自在に操り、味方のポジショニングにまで気を配れる、世界でも稀有なタイプである。エンゴロ・カンテ、マテオ・コバチッチ、セスク・ファブレガスなど、チェルシーも一流のMFを揃えているが、いずれもジョルジーニョとはタイプが異なる。

ビッグ6は過去完了形となった。

 現時点では好調のジョルジーニョも、世界一とされるプレミアリーグの強度に疲弊し、中盤戦以降はパフォーマンスが低下する恐れがある。シティ、リバプールはある程度のローテーションが可能だが、チェルシーは主力と控えの間にレベルの差がある。そう考えると、2強には届きそうもない。

 リバプールがチャンピオンズリーグとの2冠も可能な戦力を整えたいま、昨シーズンのようなシティ1強はありえない。ビッグ6は過去完了形となり、2強+1の様相を呈しつつある。ノースロンドンの2チームとユナイテッドは、厳しいシーズンになりそうだ。

 あらゆる意味で、シティとリバプールには勝てない。

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