Jをめぐる冒険BACK NUMBER
風間監督が称えた川崎の「自信」。
名古屋を叩きのめした2つの凄み。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/09/25 17:00
小林悠が挙げたチーム3点目は川崎フロンターレらしさを凝縮した崩しだった。昨季J1王者は、やはり強い。
「似ているようで……」(憲剛)
もっとも、川崎が優れているのはボールを扱う技術だけではない。
「(川崎と名古屋は)似ているようで似ていないところがかなりある」
試合後の中村の言葉である。たしかに名古屋は身長192センチのジョーが前線にいるから川崎よりもロングボールを多用する傾向がある。
しかし、似ていないのは、そうした表面的なことだけではない。
「この1年半の間に身に付けたもので差を見せたかった」と中村は力を込めた。この1年半とはすなわち、“風間後”のことであり、身に付けたものとは、攻守の切り替えの速さ、アプローチの速さ、球際での厳しさといった“ボールを回収する力”のことだ。
この試合で名古屋のコントロールタワーであるエドゥアルド・ネットは何度もピッチに倒れたが、このボランチを潰したのは、ほかでもない中村だった。
ただし、川崎が敵陣で相手を素早く囲み、ボールを奪い取れるのも、それだけ相手を押し込んで陣形を破壊しているからこそ。しかも中村は「敵陣でボールをゆっくり回しながら、意図的に休む時間を作っていた」とまで言う。
だからこそ、川崎はゲーゲンプレッシングを敢行することができるのだ。
相手の長所を全部消したかった。
首位のサンフレッチェ広島が引き分けに終わったことで、2位の川崎との勝点差は4に縮まり、ついに広島の背中が見えてきた。しかし、気の緩みは一切ない。
「欲を言えば4点目、5点目を取りたかった」と中村が反省すれば、大島僚太は完封勝利を逃したことを悔やんだ。
「失点の場面で、相手のサイドバックの選手(金井)が中に入ってくることは分かっていたのに見切れなかったのは、自分自身に対して納得いかない。あそこを防いでこそフロンターレとやりたくないと思わせることに繋がると思うので、ジョーもストロングかもしれないですけど、それ以外のストロングも全部消したかったというのが本音です」