Jをめぐる冒険BACK NUMBER
風間監督が称えた川崎の「自信」。
名古屋を叩きのめした2つの凄み。
posted2018/09/25 17:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE
懐かしい。「フリーの定義」といった独特のフレーズも、「今言ったとおりです」と記者の質問をばっさり斬る感じも、禅問答のようなやり取りも、何もかもが懐かしい。
いや、この1年半の間に風間八宏監督の記者会見には何度も出席しているし、インタビューをさせてもらったこともあるから、“風間節”に触れるのが久しぶりだったわけではない。
だが、やはりこのスタジアムの会見場で聞くのは、格別なものがある。
9月22日に行われたJ1リーグ第27節の川崎フロンターレ対名古屋グランパス戦。'12年から'16年まで川崎の監督を務め、'17年から名古屋を率いる風間監督がかつてのホーム、等々力陸上競技場で指揮を執るのは退任して以来、初めてのことだった。
ドライな人だから、風間監督に特別な感情はなかったかもしれないが、川崎側に期するものがあったのは確かだろう。「名古屋という相手に対して、選手たちは気持ちが非常に入っていたと思います」と鬼木達監督が振り返ったように、立ち上がりから名古屋の選手たちに襲いかかっていく。
「川崎は自信を持ってサッカーを」
20分にオウンゴールで先制した川崎は、34分に阿部浩之の目の覚めるようなミドルシュートで追加点を奪う。59分には前田直輝にゴールを許したが、63分に小林悠のゴールで突き放す。
最終スコアは3-1。「相手にビビっていたところがあった」(玉田圭司)、「特に前半は自分たちのサッカーができなかった」(金井貢史)と名古屋の選手たちも認めたように、川崎の完勝だった。
「川崎は自信を持ってボールを持って、サッカーをやっている。そこはうちの選手たちも見習うべきだと思います」
川崎の印象について問われた風間監督はそう答えたが、それは、かつて風間監督に「もっと自信を持ってプレーしないといけない」と苦言を呈され続けた川崎の選手たちにとって、最大級の賛辞と言えるだろう。