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巨岩ロナウドが去ったマドリーは、
まるでバルサ的なパスサッカー。
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byUniphoto press
posted2018/09/19 17:00
ロナウドのいない白い巨人は違和感がある一方で、ベイルら数多くスーパースターが連動して攻めるスタイルは新鮮さがある。
ベイルもリラックスできている。
「昨シーズンまでよりもリラックスしてプレーできている」
まさしく岩陰から日の当たる場所へと飛び出し、ついにマドリーで主役の座を射止めたベイルも、その言葉通り、開幕から3戦連続ゴールと躍動している。
年間50ゴール近くを保証してくれた大エースがユベントスへ去り、チャンピオンズリーグ(CL)3連覇の偉業へと導いたカリスマ指揮官、ジネディーヌ・ジダンも電撃退団。戦前はその前途を不安視されたマドリーだが、開幕3連勝とスタートダッシュに成功し、この難易度の高いビルバオとのアウェーゲームでも、縦へのスピードとロナウドの決定力に大きく依存した昨シーズンまでとは、ひと味違うフットボールを見せてくれた。
己の思慮の浅さから、ロシア・ワールドカップの開幕前日にスペイン代表監督を解任され、指導者としてのキャリアに傷をつけたジュレン・ロペテギだが、その傷をかさぶたが覆うのは、思いのほか早いかもしれないと、そんな予感も抱いた。
クロースのアンカー起用も意欲的。
新しい職場でのロペテギの仕事ぶりは、十分な評価に値するだろう。世界的なビッグクラブを率いる重圧に縮こまることもなく、直近まで自身が率いていたスペイン代表的な、あるいはバルサイズムに準ずるような、常にボールを握るスタイルに果敢に挑戦中である。
インターナショナルマッチウィークにセレソンの一員としてアメリカまで長距離移動を行なったカゼミーロの疲労を考慮した面もあるが、ビルバオ戦ではパスセンスに長けたクロースを1列下げてアンカーで起用。ポゼッションフットボールの確立へ、ここにも指揮官の強い意欲が見て取れた。
数字的な裏付けもある。
インターネットサイト『Who Scored.com』のデータによれば、第4節を終えた時点でのマドリーの平均ポゼッション率は66.2%、パス成功率は90.6%、ショートパス本数は676本で、いずれもリーグ1位。どの項目でも僅差とはいえ、2位につけるバルサを上回っている。
ただし、ボール支配とハイプレスの両立を目的とする、少し乱暴な言い方をすれば“マドリーのバルサ化”は、まだ着手から間もなく、もちろん完成形にはほど遠い。