セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ロナウドを封じろ――。最強FWと
守備の国イタリアDFたちの熱き攻防。
posted2018/09/19 16:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
セリエA開幕後4試合目にして、C・ロナウドがついにゴール前の沈黙を破った。
16日、4節サッスオーロ戦の50分に先制点を決めると、15分後には追加点を決め、ドッピエッタ(1試合2ゴール)を達成。2-1で開幕4連勝を祝うと試合後、安堵の言葉を漏らした。
「(初ゴールは)とても嬉しい。R・マドリーから移籍してきて、大きな期待と少しの不安があった。新しいリーグに少しでも早く馴染めるよう、チームメイトたちからすごく助けてもらっている。ゴールを決めたいという気持ちがあった」
地球最強クラスのストライカーは、「不安」というまさかの言葉を口にした。
アッレグリ監督を始めとする周囲が「初ゴールは時間の問題だ」とあえて心配する素振りを見せていなかったとしても、マドリー時代に通算450得点を積み上げた怪物FWがイタリアに渡って開幕3戦、地方クラブのキエーボやパルマ相手にノーゴールに終わったことは、やはり“事件”だった。
ゴールのために生きている化け物。
守備の国のDFたちは、C・ロナウドをどう迎え撃っているのか。
今季セリエAのカレンダー抽選が行われた7月26日、開幕戦の相手がユベントスと知ったキエーボのDFバーニは言葉を失った。
その頃すでに国中が、いや世界中が、クリロナの新天地イタリアで最初の餌食は誰なのかと憐れむふりをして興味津々になっていた。“CR7とイタリアで最初にマッチアップするDF”として一躍スポットライトを浴びたのが、昨季1部デビューしたばかりのほぼ無名のDFバーニだった。キエーボの昨季チームからロシアW杯に出場した代表選手は1人もいない。
TVでしか見たことのないスーパースターをどうマークすればいいか、バーニは必死に考えを巡らせた。
「相手は物凄いアスリート能力の持ち主で、ゴールのために生きているような化け物だ。あらゆるキック技術もあるから、マーク相手としてはかなりタチが悪い」