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奥寺康彦から30年後、大迫勇也が。
ブレーメンに馴染むマルチな才能。
posted2018/09/21 11:00
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Getty Images
2018-19シーズンのドイツ・ブンデスリーガは、9月20日時点で3節を消化しました。首位は3戦全勝のバイエルン。相変わらずの強さで、他の追随を許しません。
2位は香川真司がリーグ戦でもカップ戦でもベンチ外が続く、ドルトムント。こちらは試合内容に危うい部分もありますが、2勝1分の勝ち点2差でバイエルンに食らいついています。ドルトムントと同勝ち点でヴォルフスブルク、ヘルタ・ベルリン、ボルシアMG、マインツも続いており、リーガ序盤はなかなかのつばぜり合いとなっています。
そんな中、開幕から3節連続でブレーメンを取材しました。今季のブレーメンには日本代表FW大迫勇也が2部に降格したケルンから加入し、日本のサッカーファンにとっても注目を集める存在になりそうです。
奥寺と『ダイヤモンドサッカー』。
僕にとってのブレーメンと言えば断然、奥寺康彦さん(元日本代表、現・横浜FC会長)が活躍していた時代のチームが思い起こされます。
奥寺さんが在籍したのは1981年からの約5年間。当時の日本は国内や海外のサッカーを放送する局は稀で、テレビ東京の『三菱ダイヤモンドサッカー』だけが頼りといった状況でした。金子勝彦アナウンサーが番組を進行し、後に日本サッカー協会会長を務めた岡野俊一郎さんが解説をする30分番組で、ブレーメン所属の奥寺さんがプレーしているシーンを見て、子どもながらに感嘆の声をあげていました。
遠い異国で活躍し、現地のサッカーファンから『東洋のコンピューター』と称賛された奥寺さんが暮らし、プレーしたブレーメンという街にいつかは行ってみたい。そんな夢を抱きながら今の職業に就き、長い月日が経ちましたが、なんと2018年の今年、遂にその街を訪れることができたのです。
現在のブレーメンは常勝クラブではありません。リーガを4度制した歴史はありますが、このところは中位が定位置で、ときに残留争いを強いられる立場にあります。奥寺さん以降は日本人選手が在籍しなかった事情もあり、日本の若いサッカーファンにはほとんど馴染みがないチームだと思います。