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川崎・守田英正と浦和・柴戸海。
代表デビューとライバル関係の今後。
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph byGetty Images
posted2018/09/15 11:30
大きく若返った日本代表で、記念すべき1キャップを刻んだ守田英正。今も柴戸とともにプレーする機会を待ち望んでいる。
守田はずっと柴戸を追いかけてきた。
守田にとっては「ユニバーシアード代表=柴戸」と言えるぐらい、1つ上のステージに立っている存在だったと言う。
「僕はユニバー代表に選ばれる前から、『柴戸選手』という存在は知っていました。とはいえ、こっちが勝手に意識していただけ、というところは少なからずありました」
どのようなシチュエーションで、どのように守っているのか。関東大学リーグなどで実際に対戦するなかで、柴戸のプレーから発見したり、確認させられたりすることも多かったそうだ。
2017年、台北で開催されたユニバーシアードで、日本は優勝を成し遂げている。そのチームのボランチの座を常に争っていたのが、守田と柴戸だった。まさに切磋琢磨――と言える間柄だった。
守田は、それぞれの特長を説明する。
「守備のスタイルでは、僕は割とクリーンに綺麗にボールを奪い取るタイプ。ただ、パワーで迫ってくる海外の選手と対峙するとき、削ってでもガツンといけないといけない。その判断や強さの点で、柴戸のほうが一枚上手だなとは常に感じていました」
どうすれば柴戸に勝てるかばかり考えていた。
何より、どうすれば柴戸に勝てるのか。柴戸を上回れるのか。そればかりを守田は考えていたそうだ。
「ユニバーシアードに選ばれてからは、同じポジションで、同じような役割であるので、柴戸のプレーをずっと見ていました。それまでこのチームでは彼がレギュラーを務めていたので、僕もスターティングメンバーの座を『奪ってやる』と、正直、挑んでいました」
守田は素直に語る。
「柴戸に勝ちたい。むしろ大学時代を振り返ると、僕はそればかりを考えてやっていたと言えるぐらいです」
決して社交辞令ではなかった。守田にとって紛れもなく、柴戸は「影響を受けた選手」であり「ライバル」だったことが分かる。大学3年でコンバートされ、4年になって「ディフェンス一本で勝負する」と決意を固めた。そこから一気にディフェンスの対応力を吸収していくプロセスで、柴戸というタレントは、守田のサッカー人生に欠かせぬ一部であった。