お互いに「永遠のライバル」。

　一方、柴戸も守田に対する対抗心は常に持っていたという。

「大学のリーグ戦で対戦する機会が多かったですからね。ユニバーシアード代表の試合では、基本的にどちらかがベンチで、どちらかが試合に出ている形でした。ヒデが試合に出ているとき、僕は常にヒデのプレーを追いかけていました」

　ピッチに立てば、それぞれを尊重し合いながら、一方で負けず嫌いの血が騒いだ。いいプレーしているな。だからこそ、こいつに勝ちたい、と。

「お互いにプレーを意識し合いながら、ユニバーシアード代表の練習のときから、『負けない』と強く思っていました。それが間違いなくレベルアップにつながっていきました」

　開幕直後に負傷しリハビリをしていたとき、柴戸は「こういう時間も成長につなげられるように自分と向き合って、いつか積み上げたものを発揮できるように準備したいと思います」と語っていた。

　彼は彼で、自分自身とも向き合う時間を作り、憧れの存在でもあったという阿部勇樹から様々なことを学び取っている。

　守田は柴戸を「永遠のライバル」に挙げていた。では、柴戸にとっても、守田は「永遠のライバル」になり得るか？　そう聞くと、柴戸は「はい、そうですね」と即答した。

「もちろん、僕にとっても大切なライバル。とても刺激をもらえる選手の1人です」

「これからです。自分も柴戸も」

　2018年9月の段階では、立場は大きく変わった。

　守田はプロ1年目にして、川崎の主力の座を掴み、さらに追加招集から日本代表デビューを果たして、一気に突き抜けていった。

　一方、開幕からの低迷によって監督交代も起きた浦和で、柴戸もまた苦しみ、これまで公式戦4試合出場に止まっている（新人であれば、まずまずの成績とも言えるが）。

　とはいえ、いずれもプロ1年目だ。この先何が起きるのか、どのようなサッカー人生が待っているか。それは誰にも分からない。

「これからです。自分も柴戸も、お互いに感化し、刺激し合い、行く行くは同じピッチで戦いたいです」

　守田はそう語り、未来を見据えていた。

　これからも2人が触発し合い、いつかは日本代表のチームメイトとして。そのようにして日本を強くしていければ最高だ。

　守田と柴戸。永遠のライバルとしての物語もまた、始まったばかりだ。