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小野伸二と稲本潤一が語る黄金世代。
「同級生の一番に」「すげえな、と」
posted2018/09/15 10:00
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph by
Atsushi Kondo
8月下旬、北海道・札幌に足を運んだ。
地下鉄・東西線の北西端、宮の沢駅で下車し、「白い恋人パーク」に向かう。コンサドーレ札幌の練習場には平日にもかかわらず多くのファンやメディアが駆けつけていた。Jリーグで好調を維持するコンサドーレに、北海道のサポーターは大きな期待を寄せているのだろう。ピッチを見下ろすテラスでジンギスカンを食べながら見学をしている家族連れもいる。
ハーフコートで試合形式の練習が行われていたが、時折、2人のベテランプレーヤーのトラップや動きに目を奪われた。小野伸二と稲本潤一だ。
小野の「それを見るためにお金を払う価値がある」(byカメラマン近藤篤氏)トラップに思わずため息が漏れ、稲本のチーム全体にスイッチを入れるようなドリブルでの持ち上がりを見ると2002年の記憶が蘇ってきた。
チャンピオンズリーグを知らずに海外移籍。
2人には発売中のNumber961号の取材で「海外クラブへの挑戦の意味」について話を聞いた。移籍決断の背景や現地で言葉の壁をどう乗り越えたのか、そしてジダンやアンリら実際に対戦したレジェンドたちの巧さなどについて楽しそうに語ってくれた。
話の中で意外だったのは、2人が小さい頃から海外でのプレーに憧れたり、強く意識することはなく、ほとんど知識もないまま(チャンピオンズリーグさえ知らなかったとか!)オランダのフェイエノールトとイングランドのアーセナルに移籍したということ。
「当時は今みたいにスカパーやダゾーンがなくて、携帯もガラケーやし」(稲本)
海外リーグの情報や試合動画が溢れている2018年現在とは、まったく違う環境で彼らはヨーロッパへの移籍を決断していったのだ。