“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
裏抜けが生命線と理解してくれ!
瀬川祐輔が柏で口酸っぱく主張中。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/08/29 07:00
柏はクリスティアーノや伊東純也ら個人個人の破壊力はJ有数だ。それを瀬川祐輔が絡むことでどんなアクセントをつけるのか。
結果を出すことを優先しすぎて。
「昨年は怪我もあって、別の意味で苦しみました。だからこそ今年は怪我をしないことを大前提でやっていた。ただここまで怪我をしていませんが、戦術眼不足とか、自分の強みをどう出すかという面で壁にぶち当たってしまった」
開幕前の『ちばぎんカップ』でこそゴールを決めたが、大宮から同タイミングで加入した江坂任がレギュラーを掴む中、ベンチから戦況を見つめる時間が続いた。
そして冒頭で触れた2度のスタメンのチャンスでも、結果を出せなかった。60分でピッチに去った磐田戦では「この出来なら、出番が無くても仕方がないと思った」と語ったように、そこからさらに出場機会は激減。第16戦・FC東京戦では初めてベンチ外となった。
「ジュビロ戦まではパフォーマンスがすごく悪くて、思うようにプレーできなかった。連戦で普段の練習がしっかりできていなかったことで、出場時間も短かったり、ベンチに入っても出ないことがあって……どんどんコンディションが落ちて行くのが分かった。もちろんコンディションを保てなかった自分の責任も感じたし、出場したときにちょっと気負いすぎていた。コンディションが悪いのに、『結果を出さないと』と思い込みすぎて空回りして、当然結果もついてこなかった」
自分の特徴が理解されていない。
ただ、磐田戦は彼にとってのターニングポイントとなった。
「ジュビロの5バックが凄く固くて、それでも狭いスペースでターンできるシーンが2、3回ありました。ただファーストタッチも含めて相手のプレッシャーを感じてしまって微妙にズレていた。それ以上に『まだ自分のプレーが周りに理解されていない』と感じたんです。ずっと試合に出ていた選手と連係しきれていないのには、僕の特徴や、考えている狙いを理解されていないと気づいたんです」
思った以上に瀬川祐輔という存在がチームに認知されていなかった。これは彼にとって大きな気づきだった。
瀬川はプロ入り後、FWとしてプレーする機会が増えた。しかしサイドのように、ボールをもらってからスピードアップするようでは簡単に潰されてしまう。だからこそ瀬川は「ずっと自分の課題だった」というオフ・ザ・ボールの動きを磨いたのだ。
その結果、常に首を振りながら状況を見つつ、自分が欲しいポイントでボールをもらえるようになった。1つ、2つとフェイントを加えてから動くことで、相手のマークをつきにくくするようになったのだ。