“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
酷暑の中の高校総体サッカー決勝。
山梨学院vs.桐光学園で何があった!?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/08/20 07:00
試合終了直後のピッチ上。桐光学園の10番が座り込む前で、山梨学院の選手達は初優勝の喜びを爆発させていた。
桐光学園の選手はもう限界だった。
勝負は1-1の延長戦にもつれ込むと、延長前半の75分に山梨学院がオウンゴールで勝ち越し。85分には敷野が足を攣って動けなくなり、そのまま担架で運び出されて交代を余儀なくされた。試合はそのまま2-1で終了し、山梨学院がインターハイ初優勝を飾った。
同点弾のシーン、敷野の足取りは重かった。大石に入れ替わられたCB望月駿介の動きもいつものそれではなかった。もちろん、クリアした保坂もスピードがあって素晴らしい選手だし、大石も大型ながら俊敏性を持った能力の高い選手である。だが、明らかに桐光学園の選手たちは、試合後半にかけてガクッと運動量が落ちていた。
それもそのはずで、彼らは準決勝を戦い終えて、僅か17時間半後にこの決勝を迎えていたのである。
試合再開が不明のまま数時間を過ごす。
当初、準決勝は11時キックオフ、決勝はその翌日11時キックオフと24時間の間隔だった。
しかし、三重交通Gスポーツの杜鈴鹿のメインスタジアムで行われた桐光学園vs.昌平の試合は、3-0で迎えた48分(後半13分)に、雷によって中断することとなったのだ。
両チームの選手はユニフォーム姿のままロッカールームに下がり、ピッチサイドで写真を撮っていた我々も記者控え室で待機となった。スタンドにいた観客もメインスタンドのコンコースか隣接する体育館に避難した。
この対応をとった三重県の会場運営者の判断は素晴らしかった。しばらくすると遠くで鳴っていた雷鳴が徐々に近づき、どんよりとした雨雲がピッチ上空に差し掛かると、バケツをひっくり返したような大雨が降って来たからだ。
いつ試合を再開できるのか……両チームの選手はもちろん、スタッフや大会運営にも分からない状況。稲光がさし、雷鳴が響いたらそこから30分は試合開始ができないため(場合によっては20~30分だが、鈴鹿会場の判断は30分だった)、雷鳴が響く度に「あと30分は中断か」と判断している状況だった。
結果として、明確な再開時間を伝えられないまま、選手達はロッカールームで2時間、3時間と待ちぼうけをくらうこととなってしまった。