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酷暑の中の高校総体サッカー決勝。
山梨学院vs.桐光学園で何があった!? 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2018/08/20 07:00

酷暑の中の高校総体サッカー決勝。山梨学院vs.桐光学園で何があった!?<Number Web> photograph by Takahito Ando

試合終了直後のピッチ上。桐光学園の10番が座り込む前で、山梨学院の選手達は初優勝の喜びを爆発させていた。

雷が鳴ると「30分は試合ができない」。

「雷が鳴った後に、『あと30分は試合ができません』という報告が2、3回来て、そこから大会本部と気象庁とやり取りをしている中で、3時間くらい経ってから『あと1時間半後の16時15分に(再開するかどうかの)判断をします』という通達が来ました。なので、そのタイミングで補食をとらせたり、エネルギー補給する時間にするなど、とにかく一回シャットダウンする時間に当てました。それまではいつ始まるか分からなかったので、補食のタイミングだけでも、設定するのが相当難しかった」

 桐光学園・鈴木勝大監督がこう語ったように、両チームの選手達は先行き不透明な状態でロッカールームに缶詰にされてしまっていた。そして、目安だった16時15分の25分前の15時50分頃に、『16時半に再開します』という通達があった。そのまま、16時過ぎにピッチでアップを始め、16時半には試合が再開していた。

「一度、シャットダウンをしてしまって、いきなり試合が始まった印象で、もう攻めるしかないと捨て身で来た昌平さんの前で、押し込まれてしまった」(鈴木監督)

せめてキックオフ時間の変更を!

 再開後の両チームの選手達の動きは明らかに重かった。

 だが、3点のリードを奪われ、もう点を獲るしかない昌平と、凌ぎ切りたい桐光学園の心理の差が、昌平に勢いをもたらしていた。

 55分に1点を返されると、そこからさらに試合は雷によって2度目の中断へ。時計の針は残り3分を切っていた。この中断は25分程度で終わったが、後半アディショナルタイムに昌平にさらに1点を返され、最終的には1点差まで追いつかれての3-2でタイムアップ。

 11時にキックオフした試合が終了したのは17時20分。両チームの選手は合わせて約5時間もの時間をロッカールームでの待機に費やさざるを得ない結果となった。

 取材する我々も疲労困憊だった。だが、いつ再開されるか分からないまま、待機した選手への負担はいくら若いと言え、相当なものがあったはずだ。

 試合後、鈴木監督も大会本部に決勝のキックオフ時間の変更の検討を意見した。それは選手を守るためには当然の行為であり、筆者も夕方のキックオフに変更だろうと思っていた。もっと極端なことを言えば、11時キックオフで動かせないならば、あまりも両校の条件が違うわけなので、決勝戦を行わずに「両校優勝」での決着でもいいのではないかとすら考えた。

【次ページ】 スケジュール変更可能だったのでは?

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