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御嶽海の“ちゃんこの味”は自分流。
学生出身力士の大相撲革命なるか!?
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byKyodo News
posted2018/07/28 11:00
祝勝会場にて。写真中央は先代出羽海親方(元鷲羽山)。そして、フィリピン出身の母・大道マルガリータさんと握手する御嶽海。
独自の稽古観を持つ御嶽海。
相撲界では、古くからいわれる「3年先の稽古」という言葉がある。
今、すぐに結果が出ずともこの時に積み重ねた稽古が3年先に花開く。それはあとあとの「稽古の貯金」ともなる、との意味だ。
しかし、御嶽海はこう持論を展開していた。
「稽古場でやったことが本場所の土俵で出るんだ、と言うけれど、その逆の力士だっていると思うんです。
今の自分は稽古だけじゃないと思う。『このままでは現役寿命が短くなるのでは』などと言われますけど、今、幕下でガンガン稽古して、3年先に強くなるぞと言われても、その頃には膝がボロボロで関取になれなかった――では意味がない。
“今、この時の稽古”を自分なりにして、今、結果を出さないと。そう僕は思っています。それが、もしこの先の現役寿命を短くしてしまうことになっても、そこは変えたくない。僕は“今を生きている”んです」
「学生(相撲出身)でよかったな、と」
学生相撲出身力士の優勝は2001年9月場所の琴光喜(日大)以来となり、優勝一夜明け会見での質問に、御嶽海はこう応えていた。
「学生(相撲出身)でよかったな、と。今回、特に三賞もそうでしたけど、学生出身で固められたんで。これからは学生が盛り上げていく時代じゃないですかね」
さらに、「学生相撲出身でどこがよかったのか?」と問われると、こう言い切った。
「しっかり自分で考えて相撲が取れる。メンタルも、学生ならではのモチベーションもある。学生(相撲時代)にいっぱい見習うことができていたんで、それがプロでも通じたことがうれしいです」
これにはいささか解説も必要だろう。学生相撲、アマチュア相撲の大会は“一発勝負”のトーナメント制だ。
「優勝がかかる一番には『百パーセント勝てる。(トーナメント戦で)1回負けたら終わりの学生相撲出身をなめないでほしい』と話すほど、勝負強さに自信を持つ」(中日新聞7月24日付 コラム“天祐の頂 御嶽海初V”から引用)