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御嶽海の“ちゃんこの味”は自分流。
学生出身力士の大相撲革命なるか!?
posted2018/07/28 11:00
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph by
Kyodo News
関脇・御嶽海が初賜杯を抱いた。
2015年3月、幕下付出し10枚目格で初土俵を踏んだ、東洋大学出身の元学生横綱・元アマ横綱のエリート力士だ。
優勝を決めた名古屋場所14日目、NHKのインタビュールームでは感極まり、25歳の若者らしく涙でくしゃくしゃの顔を見せた御嶽海だった。千秋楽の対豊山戦では「今場所一番の熱戦」と解説者や親方衆が大絶賛するほどの、攻防ある相撲を見せる。惜しくも黒星を喫して有終の美は飾れなかったのだが“大胆不敵”な御嶽海は、その後、意外な場所で笑顔を浮かべていた。
幕内最高優勝の表彰式を終えると、すぐさま三賞受賞の表彰式が執り行われる。優勝賜杯だけに飽きたらず殊勲・技能賞を受賞した御嶽海のほか、敢闘賞を受賞したのは、東農大出身の豊山、近大出身の朝乃山のふたりだ。
「この3人で結果を残せてうれしい」
朝乃山が審判部長から恭しく表彰を受けているその土俵下。御嶽海は、ついさっきまで熱戦を繰り広げていた相手の豊山に笑顔を見せ、何やら談笑していたのだった。
本人の後日談によると、「お前、重いんだよ、太り過ぎだよ。押せないよ~」と話し掛けていたのだと明かす。そしてこうも付け加えた。
「学生出身は、この世界ではいろいろ言われるけど、形に残さなきゃそれは変わらない。今回、この3人で結果を残せてうれしいっすよ」