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御嶽海の“ちゃんこの味”は自分流。
学生出身力士の大相撲革命なるか!?
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byKyodo News
posted2018/07/28 11:00
祝勝会場にて。写真中央は先代出羽海親方(元鷲羽山)。そして、フィリピン出身の母・大道マルガリータさんと握手する御嶽海。
「僕、本番に強いんです」
かつてのインタビューでも、「僕、本番に強いんです」と自信を覗かせていたのを思い出す。
それでも今年の初場所前から、稽古の番数を増やしていたという。師匠はじめ、一門のベテラン親方である春日野親方らが、口を酸っぱくし、御嶽海の尻を叩いていたのだ。先の名古屋場所前の春日野部屋、境川部屋との合同稽古では揉まれ、同門の新大関である栃ノ心に、泥だらけになるほど転がされた。
「それまで、自分のペースでやらせてくれていたうちの師匠にも感謝しています。今場所前の合同稽古の効果があった。今までは、どうしても終盤に失速していたし、師匠や親方たちにずっと指摘されていて、みなさんが自分を思ってやってくれたんだと思います」
出羽海部屋からは38年ぶりという優勝について、そう感謝の意を表してもいた。
世代交代狙う……次の場所が大事。
そして、この夏巡業を挟み、来る9月の秋場所では大関取りが懸かる。巡業部長でもある春日野親方には、こう言われたという。
「『(巡業の稽古では)逃がさねぇからな!』と。そこは名古屋のウナギみたいにスルスル~ッと行きたいですね(笑)。いやいや、しっかり胸を借りられるところは、借りてやりたいっす」
憎めない笑顔で変わらずの“御嶽海節”をうたいながらも、顔を引き締めて言う。
「世代交代? 今場所はたまたま上位陣もいなかったからそう言われるかもしれないけど、(大事なのは)来場所だと思うんで。若手のなかでも、自分がしっかり引っ張っていきたいというのは変わらないです」
入門からわずか3年半で賜杯を抱いた元学生横綱・アマ横綱。“ちゃんこの味”は自分流の味付けで――新しい力士像を見せる「革命児」となるか。