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ロッテ井上晴哉が「主砲」に化けた!
初球も、追い込まれても打つ男。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/07/28 09:00
入団時からパワーは折り紙つきだったが、今年の井上晴哉は安定感が全く違う。
清宮幸太郎を優に上回る主砲の働き。
交流戦明けの成績を見ると、さらにその加速度が窺える。
6月23日から7月24日現在に至るまでの23試合で、79打数32安打31打点11本塁打。この間の打率はなんと.405。
先月、北海道日本ハムの清宮幸太郎がファームで本塁打を量産し、連日ニュースになっていたが、それを優に上回る活躍。まさに「主砲」の働きである。
好調の要因について、井上にも話を聞くと彼はこう返した。
「低めはバッティングを崩しやすいということが自分でも分かったので、今年は極力手を出さないようにして、高めというか自分のバットが一番スムーズに出るところを捉えに行くというイメージで今はやっています」
金森理論が浸透してきた証だ。
昨年までの千葉ロッテは、甘い球を見逃して難しい球に手を出す、悪く言えば弱いチームの典型のようなバッティングを繰り返していた。井上もその1人だった。
初球打ちが増えているのは、好調の証。
しかし、今年は違う。
甘い球を全力で狩りに行き、難しい球にはわざわざ手を出しにいかない。
追い込まれてからだけでなく、ファーストストライクから積極的にバットを振りに行き、かつ高い打率を示しているのも、立ち返る自分の軸が出来上がった証拠とも言えるだろう。
井上は話す。
「(ファーストストライクを狙えている)そういうのも調子が良い証拠だと思うんですよね。初球打ちを意識しても調子が良い時でないとやっぱり振れないと思いますし、これまでもオープン戦とかでは果敢に打っていたりしてたんですけど、やっぱりシーズンが始まって来ると(ボールを)見にいっちゃう傾向がありましたよね。初球打ちがデータとして出ているということは、それだけ自分の状態の良さを示している証拠。自分でもそう思いますね」