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阪神はなぜ、広島に勝てないのか。
両軍に見る育成スパイラルの差。
posted2018/07/27 11:50
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph by
Kyodo News
陽川尚将が苦しんでいますね。新外国人のロサリオが不振で二軍、糸井が故障で離脱している間は打ちまくっていましたが、各球団との対戦がひとまわりしてからは、当たりが止まっています。
ただ、タイガースに久しぶりに出てきた楽しみな打者ですから、このまま使い続けてほしいと思っています。最近、一軍に復帰したロサリオに当たりが出てきていますから、例えば、三塁に大山悠輔らを使って、陽川はベンチへ……、または二軍へ……というようなことにならないか心配です。それでは同じことの繰り返しになってしまうからです。
正直、今シーズンは育成について、負のスパイラルに陥っていると思います。開幕当初の構想では、サードは大山悠輔、センターは高山俊だったと思いますが、シーズンが進むにつれて打てなくなってくる。そうすると、使わなくなる。また、新たな選手が出てくる。その選手も打てなくなると、使わなくなる。
そうやって、2015年のドラフト1位高山も、2016年のドラフト1位大山もいまだに出たり、出なかったりを繰り返しています。
陽川を見ていると亀山を思い出す。
陽川は数年前、二軍にいた頃から「将来、サードのレギュラーを獲るだろうな」と思っていました。今の彼を見ていると、亀山努が出てきた頃を思い出すんです。亀山は1992年にブレークする直前、2年連続、二軍の首位打者になるなど打ちまくっていた。陽川も、ここ2年、二軍で本塁打王、打点王と抜群の成績を残しています。
つまり、ちょっとやそっと打てないからって、もう二軍でやる選手じゃない。一軍での経験が必要なんです。
陽川は比較的、穴の少ないバッターだと思います。ただ、各球団も対策をしてきている。内角を見せておいて、外という一軍レベルの攻めを徹底されると、やはり、思うようには打てなくなってくる。