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プロ野球での実績をどう生かすか。
DeNAが川崎×バスケで目論むこと。 

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石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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photograph byWataru Sato

posted2018/07/13 08:00

プロ野球での実績をどう生かすか。DeNAが川崎×バスケで目論むこと。<Number Web> photograph by Wataru Sato

2018-19シーズンの目標は「B1リーグの優勝と全試合における常時満員」を掲げている。

DeNAでプロ野球を成功させた立役者が社長に。

 なお、売上高は数年以内に10億円以上を狙い、3年目の2020-21年シーズンでバスケットボール事業単体での黒字を目指す。

 この日、記者会見に登壇した元沢伸夫氏は、2011年から球団経営を始めた株式会社ディー・エヌ・エーで新規事業やキャリア採用などを担当したのち、2014年から球団経営に参加。事業本部長として運営に携わり、横浜DeNAベイスターズで観客動員数の増加、収益も改善させた。

 その経験を買われ株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース代表取締役社長に就任。次はバスケット界で手腕を振るう元沢氏が今後のビジョンを語った。

――東芝から事業を承継し、クラブロゴなどを一新する中で、「川崎ブレイブサンダース」というチーム名を残したのはなぜでしょうか。

「実は私自身も当初、クラブ名、クラブカラーを変えた方がいいと考えていました。ただ、事業承継に際して数カ月間ファンの方に話を伺ったり、北ヘッドコーチをはじめ、選手やコーチにもヒアリングした結果、クラブ名やクラブカラーに対する思い、ストーリーが非常に詰まっていると感じ、“これは残さないとダメだ、引き継がないとダメだ”と180度考えを変え、この結論に至りました」

――長期的な目標の1つとして、年間の総観客動員数を30万人にするという目標があります。事業承継1年目の2018-19シーズンの具体的な目標はどのように設定されていますか。

「昨季の1試合平均入場者数が約3000人でしたので、少なくとも3500人~4000人は狙っていきたいです。現在、Bリーグでは千葉ジェッツさんが抜けていて、1試合平均の動員が5000人を超えていますが、その数字(3500~4000人)をクリアできれば、おそらく第2集団には入ってくるかなと見ています。1年目はまずそのあたりまでのジャンプアップを考えています」

――拠点を置く川崎市民への認知度をさらに高めることが必要になりそうですね。

「世界のバスケットの競技人口は4.5億人、日本国内にも63万人いると言われていますが、観客数を見ると、日本国内ではプロ野球、Jリーグと比較すると大きな差がある。2017年のデータを見てみると(バスケットは2017-18)、プロ野球は1試合平均29300人、Jリーグが18883人、B1リーグは2897人。また、総観客動員者数でも大きな開きがあります。

 川崎ブレイブサンダースにおいても状況は同じで、川崎市とその周辺における調査で、認知率は横浜DeNAベイスターズの79.2%、川崎フロンターレの75.8%に対して25.2%ほど。観戦経験率においても、横浜DeNAベイスターズや川崎フロンターレが10~20%に対し3%という結果が出ました。

 しかし、これはネガティブなメッセージとは受け取っていません。むしろ、この差こそがバスケットボールのポテンシャルだと思っています。

 とはいえ、認知率を上げ興味を持っていただかなければ来場者数にはつながりません。具体策の1つとして、武蔵小杉駅を中心とした広告宣伝活動に投資し、仕掛けていく予定です。ファンの方に話を聞いたところ、うちの試合をよくご覧になっている方で熱心に友達を誘ってくれている方が多く、私の感覚的な部分でもありますが、コアなファンの方が多いというイメージです。そういった方々により好かれるようなクラブにならなければと思いますし、集客戦略において最も重要だと痛感しています」

【次ページ】 ベイスターズの財産はバスケでも生かせる。

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