バスケットボールPRESSBACK NUMBER
プロ野球での実績をどう生かすか。
DeNAが川崎×バスケで目論むこと。
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byWataru Sato
posted2018/07/13 08:00
2018-19シーズンの目標は「B1リーグの優勝と全試合における常時満員」を掲げている。
ベイスターズの財産はバスケでも生かせる。
――元沢さんはプロ野球・横浜DeNAベイスターズの集客と収益を大きく改善させています。野球で培ったノウハウをバスケットでどのように生かしたいと考えていますか。
「マーケティング面を中心に生かしていきたいと考えています。“お客様のことを知る”という活動自体、ベイスターズの時は膨大な時間と労力とお金をかけて行っていましたが、それをバスケットでも実施していきます。
まず年明けから2~3カ月間、お客様が何を考えているかを徹底的に調査しました。川崎ブレイブサンダースの何が好きで、何が嫌いで、それはなぜなのか――。ファンになった理由や経緯、誰と一緒に見に来るのか、どのように誘うのか。
調査を通じて川崎ブレイブサンダースのキャラクターや支持されている部分が見えてくる一方で、あまり支持されていない面も明確になってきました。それらの調査で得た情報をベースにいろいろな戦略や施策に落としこんでいきたいと思っています」
――ベイスターズ時代も、初期の頃はご苦労も多かったのでは。
「事業が移った当初は、DeNAという会社が果たしてベイスターズという球団をしっかり成功に導いてくれるのか半信半疑だったと思います。ITビジネスにおいて実績はありましたが、スポーツビジネスにおいては実績がありませんでしたからね。
実際、ファンの方や横浜市民、行政、企業の方々との信頼関係を作るまでに3~4年ほど時間はかかりました。ただ、今はベイスターズでの実績もあって、広範囲に皆さんがDeNAをご存知で、会社に対する信頼度も初期の頃と比べると高く、バスケットボールで事業を行う上で非常にやりやすい環境に置かれていると思います」
――野球に続き、プロスポーツ事業に携わるのは2つ目となります。
「ここで成功できるかどうかがDeNAのスポーツ事業の将来を変えると思っていますし、DeNAのスポーツ事業におけるステイタスも変わってくるでしょう。背負っているものは大きなものですが、だからこそ私は自ら手を上げました。おそらく、この職務をまっとうできるのは、DeNAの中では私が一番だという自信がありました」
――その自信のルーツはどこからきているのでしょうか。
「失敗の経験がたくさんありますし、お客様に叱咤激励されたことも何度もあります。苦労もしました。しかし、そういった経験があってこそ実績を作り上げることができました。もちろん私1人ではなく、“ベイスターズ”という組織で培ってきた結果です。
そういった組織をリードする立場にいられたことが大きな自信になっています。とにかくバスケットボール自体のポテンシャルが絶大だと考えているからこその自信もあります」