“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
“黄金時代”の隣に“暗黒時代”はある。
プロ野球球団、新陳代謝の難しさ。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/06/22 16:30
ベンチ内で難しい表情の工藤公康監督とチーム首脳陣。チームの新陳代謝をどこまで意識しているだろうか……。
“黄金時代”と“暗黒時代”は常に隣り合わせ。
こういうことは、巨人と中日だけではない。
実はプロ野球の多くの球団では、“黄金時代”と“暗黒時代”はいつも隣り合っているのだ。
阪神は1985年に球界最強と言われた広岡西武を日本シリーズで倒し初の日本一に昇りつめたが、2年後の'87年から2002年までの16年間でAクラスが1回だけという暗黒時代を経験することになった。
広島も1975~'97年までの23年間で優勝6回、日本一3回のAクラス常連球団として君臨するが、1998~2012年まで15年連続してBクラスに沈んでいる。
DeNAは横浜時代の1998年に球団史上2回目の日本一に昇りつめるが、4年後の2002年から'15年までの14年間、Aクラスが1回だけという暗黒時代を迎え、オリックスはイチローを擁して1996年に日本一になるが、4年後の2000年から'17年までの18年間、Aクラスがわずかに2回という暗黒時代となり、それは現在も進行中である。
長期低迷の前には、必ずその兆しがある。
巨人は長嶋茂雄の引退、中日は岩瀬仁紀、井端弘和の衰え、広島は川口和久、新井貴浩、黒田博樹など主力の他球団移籍で衰退が始まった。
阪神はバースの退団や、掛布雅之の引退、オリックスはイチローのメジャー移籍、横浜は佐々木主浩のメジャー移籍が、低迷のきっかけとなった。
ところが、日本ハムはダルビッシュ有、大谷翔平など主力中の主力が流出しながら上位の成績を保持している――要は主力がいなくなったあとの手当の準備ができているか否か、の違いなのである。