“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
“黄金時代”の隣に“暗黒時代”はある。
プロ野球球団、新陳代謝の難しさ。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/06/22 16:30
ベンチ内で難しい表情の工藤公康監督とチーム首脳陣。チームの新陳代謝をどこまで意識しているだろうか……。
ソフトバンクは控えの年齢層が高くないか?
控えの年齢層が高いのも、ソフトバンクの物足りない点だ。
高谷裕亮、市川友也、川瀬晃、明石健志、福田秀平、川島慶三、高田知季、吉村裕基、城所龍磨、長谷川勇也、江川智晃という控え選手たちの中で、20歳代は川瀬、高田、福田だけだ。
レギュラーの年齢が高ければ控え選手をなるべく若くして将来に備えるというのは鉄則だが、“選手の充実度は球界ナンバーワン”のファーム施設がここで問題になってくるのだ。アマチュア当時の評価は高くなくても筑後のファーム施設で4、5年鍛え上げれば球界を代表する凄い選手になるはず……そういう思い込みのせいでなかなか一軍に上げられない、という意識がどうやら球団上層部に見え隠れする。
「完成品に育て上げて一軍に上げる」
これが現在のソフトバンクの育成プランのようなのだが、これと真逆なのが日本ハムである。
日本ハムの若手起用の背景にあるものとは?
若手選手を完成品にしてから一軍に上げる時間的な猶予がないのは、日本ハムの選手層の薄さゆえなのだが、「一軍の空気に慣れれば選手は勝手に大きくなる」と、どうもそういう考えがあるようにも思える。
捕手は高校卒4年目の清水優心、二塁は大学卒3年目の横尾俊建、同2年目の石井一成、高校卒4年目の太田賢吾で争わせ、高校卒ルーキーの清宮幸太郎は5月2日に出場選手登録されると第1打席で広くて高い札幌ドームのセンターフェンス上部を直撃する二塁打を放ち、9日のオリックス戦ではディクソンからホームランも放っている。
日本ハムが得意とする、完成まで「まだ5割」の段階で一軍に上げてしまうという促成栽培が、ソフトバンクでは豊富な選手層と球界最高のファーム施設を持っているがゆえに、ためらわれるのだ。