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イングランドはプレミアの二線級?
若い力でW杯8強なら上出来か。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2018/06/17 17:00
イングランドの将来を担うデル・アリ(右)とダイアー。今回のW杯は長期的スパンを見据えた上での戦いとなる。
イングランドを楽観視できる5つの理由。
「一体感が出てきた」
イングランド代表のガレス・サウスゲイト監督は、ロシアワールドカップに臨むメンバーに好感触を抱いている。カペッロ体制下と異なり、政争を好むタイプがいないためトレーニング、ミーティングとも非常に良好ムードだという。『BBC』(英国公共放送)も「イングランドを楽観視できる5つの理由」と題し、サウスゲイトのチームに好意的だ。
【1】恐怖もプレッシャーもない
【2】サウスゲイトはイングランドのDNAを信じている
【3】テクニカルな選手が多くなった
【4】近ごろの選手はタフな闘いに慣れている
【5】育成が奏功しつつある
4年前のブラジル大会を経験しているのはギャリー・ケーヒル、フィル・ジョーンズ、ジョーダン・ヘンダーソン、ラヒーム・スターリング、ダニー・ウェルベックの5名だけで、そのほかの18名は初のワールドカップだ。
若返ったと同時に経験不足は否めない。
確かに若返っているし、デル・アリのように狭いエリアでも高等技術を発揮できるタイプも現われた。プレミアリーグは世界一のインテンシティを誇り、今回のチームの軸となるトッテナム、マンチェスター・シティ、リバプールに所属する選手たちは、チャンピオンズリーグでタフな試合を楽しみ、有能な監督の下で高度な戦略・戦術をマスターした。アンダー20、17の世界大会を制するなど、若手の成長にも目覚ましいものがある。DNAを信じるのは当然だ。
しかし、経験不足は否めない。とくにGKはジャック・バトランド、ジョーダン・ピックフォード、ニック・ポープの3人を合わせた代表キャップ数がわずか12。トッテナムで定位置を守るユーゴ・ロリス(フランス代表)の8分の1にも満たない。
また、デル・アリを筆頭とするテクニカルな選手が台頭しているとはいえ、創造力に富んだMFは消えた。チャンピオンズリーグとワールドカップは異なるプレッシャーであり、アンダー世代をさらに刺激するためにも、1~2人は10代の若者を帯同し、4年後につなげるべきだったのではないだろうか。