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イングランドはプレミアの二線級?
若い力でW杯8強なら上出来か。
posted2018/06/17 17:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
悲願のワールドカップ初優勝から52年、イングランドは暗中模索の時代が半世紀以上続いている。
この間、ワールドカップは1990年イタリア大会の4位が、ヨーロッパ選手権は'68年イタリア大会の3位が最高成績であり、大舞台でインパクトを与えるまでに至っていない。
世界の頂点に立った'66年大会も、判定に助けられた。1-1で迎えた延長11分、ジェフ・ハーストのシュートがクロスバーを叩き真下に落ちる。ゴールラインを割っていたのかいなかったのか、極めて微妙なシーンだった。こんにちのようにゴールライン・テクノロジーが用いられていたら、ハーストの得点は認められなかったかもしれない。
「イングランドは戦略的、戦術的に遅れている。随所にタレントを擁しているが、チームとして機能するとは思えない」
スペイン代表の元監督で、レアル・マドリーも率いたビセンテ・デルボスケがバッサリ切り捨てた。運・不運ではなく、イングランドの低迷は稚拙なプランニングにあると断罪した。
プレミア中堅で妙に多い自国の精神論者。
2000年代に入り、ジョゼ・モウリーニョ、ラファエル・ベニテス、ジョゼップ・グアルディオラ、ユルゲン・クロップといった戦略家がプレミアリーグで指揮を執るようになったものの、彼らが率いるチームの主力は基本的に外国人だ。イングランド代表を選ぶにあたり、中堅クラブに目を向けざるを得なくなる。
ここが大きな問題だ。
スペイン、イタリア、ドイツなどの指導者は知名度や実績にかかわらず、それぞれが個性豊かなゲームプランを磨き上げているが、イングランドの中堅クラブを率いる監督は、なぜか自国の精神論者が多い。
対戦相手の研究もそこそこに、旧態依然とした「精神一到何事か成らざらん」を基本戦略に用いるタイプでは、戦略・戦術を整備できるはずがない。世界に後れを取ってきたのは当然だ。なるほど、デルボスケの指摘は的を射ている。