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U-21仏遠征、プロより目立つ大学生。
Jリーガーへの競争心と信頼の高め方。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byGetty Images
posted2018/06/05 07:00
全国的には無名ながらポルトガル相手に2ゴールを奪い取った上田綺世。大学にも有力な選手が数多いのが日本サッカーの特徴だ。
「自分が選ばれている理由は絶対ある」
しかし「とにかく得点のことばかり考えているタイプ」という昨季の関東大学サッカーリーグ1部新人王は、数少ないチャンスを生かした。
78分、遠藤渓太(横浜FM)のスルーパスに抜け出し、体勢を崩しながらもシュートをゴール左に流し込んで同点弾を奪い、アディショナルタイムには三笘のパスで背後を取り、PKを獲得。そのPKを自らゴール右に蹴り込み、劇的な勝利をもたらしたのだ。
試合後、上田はこう話していた。
「自分がここに選ばれている理由は、絶対にあると思っている。自信を持っていかなければいけない部分、足の速さや背後の動き出しの質など、自分の特徴は状況に関係なく出さなければいけない。それを少ない時間でも出せるからこそ、信用してもらってあの時間帯に出させてもらったと思う。結果を出せてよかった」
森保監督が就任会見で語っていたこと。
U-21日本代表に森保一監督が就任してから約5カ月が経った。その間に行われた遠征は、今回のフランス遠征を含めて計4回。そのすべての遠征メンバーには、計8人の大学生が呼ばれている。そして今回は上述の2人以外にもGKのオビ・パウエルオビンナ(流通経済大)が招集され、カナダ戦のゴールマウスを守った。
就任会見の際、森保監督はこんな言葉を語っていた。
「この年代の可能性のある選手を見ていきたい。この年代の選手をより広く、ラージグループとして捉えながら選手を見させていただいて、最終的にコアな部分を作っていきたいという意図があります」
テレビや配信での放送があるJリーグ勢に比べて、大学リーグの露出は明らかに少ない。ただ、その中でも日々のプレーをしっかりチェックしてもらい、結果として代表に呼ばれる。この事実は大学勢にとって、これほどやりがいがあることはないだろう。川崎の下部組織出身である三笘もそれを実感する1人だ。
「結果を出せれば、呼んでもらえるというのは大きい。どの大会もそうだけど、呼んでもらっているというのはチャンスなので、このチャンスをつかみとりたいと常に思ってプレーしている」
“大学生だから選ばない”といったしがらみはなく、森保ジャパンは誰に対してもしっかりと門戸が開かれているのだ。